【映画】フォーガットン
これほど予告編のよくできた作品も珍しいだろう、と思うほど、予告編を観てから作品の公開日を心待ちに待った。
飛行機事故で愛する子供サムを亡くし、1年経過した今も心の傷の癒えない母(ジュリアン・ムーア)。ある日のこと、サムとの思い出が綴られたアルバムは白紙に戻り、思い出のビデオの映像が消え、一緒に撮影したはずの写真からサムだけが消えた。
すべては夫の仕組んだことだと怒り心頭の母に、精神科医が告げる。「君に、子供はいない。流産したんだ」
どうしても、子供=サムが、はじめから居なかったなどと信じられない母は、必死に周囲を走り回るが、誰もが「サムって誰?」。
サムは、ほんとうに始めから居なかったのか。
サスペンス基調で始まるオープニング。サムの存在の真偽について、母の思い込みなのか、それとも何者かの陰謀で、”いなかったこと”にされているのか。往年の「ローズマリーの赤ちゃん」を彷彿させる名作スリラーの滑り出し。期待は高まるばかりである。
前半は・・・・
ネタバレになるので、後半については多くを語れないが、母が推測する「子供が始めからいなかった」ことにされてしまっている”陰謀”の犯人についての一言で、本作の予告編、そして前半のサスペンス基調の物語の全てを根底から否定したかのような展開へと、一変してしまう。
「え!?そうなの!?そんなんでいいの?」
うまくいえないが、もうちょっと論理的な答えを用意して欲しかった・・・
いや、まあ、あまり多くは語らないことにしよう。これはこれで、よくできた作品だと思うので。前半は・・・・
そんなわけで本作は、サスペンスではない。筆者は期待度MAXで劇場に足を運んで、上映が終了した後「こんなんだったとは・・・」と30分ほど放心状態で動けなくなってしまった。
ところで、ひょっとするとジョディ・フォスター向けの脚本かと思わせるような、”1本筋の通った強い母”を線の細い見た目はキャシャなジュリアン・ムーアが好演。前半は・・・ね・・・
シャマランの脚本や、ドリームキャッチャーが好きな人には、うれしい作品かも知れない。
敵役のライナス・ノーチが大変いい味を出している。