【映画】インシディアス第2章
「狡猾な」という意味の”インシディアス”。息子ダルトンは幽体離脱の能力を持っていた。毎夜、夢の世界で幽体離脱をこれといった疑念も持たずに楽しんでいたが、そこには狡猾な霊・悪魔が潜んでおりダルトンの身体を乗っ取ろうと画策していた。ダルトンは死者の世界に連れていかれてしまった。現世ではダルトンがコーマになったと医者に診せるが埒があかない。しかし霊能力者エリーズが真相を語った時、実はダルトンの父親であるジョシュも幽体離脱の能力を持っており、幼い頃、老婆の霊に身体を乗っ取られるところだったことが明らかになる。エリーズは彼の記憶を封印、なんとか事をおさめた経緯があったのだ。父親ジョシュは幽体離脱の能力を覚醒、息子ダルトンを救うため、死者の世界へと向かう。救出は成功したかに見えたが、ジョシュを狙う老婆の霊が、そのままジョシュを乗っ取ってしまい。エリーズを殺害する。
ここまでが"インシディアス”(1作目)のあらすじ。本作”インシディアス第2章”は、この直後からの続編で、まるで日本の大作映画のような、そのまま続きという構成になっている。
ジョシュを乗っ取った老婆の霊。姿と形はジョシュだが、何かが違う。家族たちは疑念にかられつつも、なんとか平穏な生活に戻りたいと、何もないかのように装うが、時折現れる白いドレスの中年女性。そして花嫁衣装をまとった老婆。無数の死体。
頼りのエリーズはすでに死んでしまった。そこでジョシュの母親は、エリーズの弟子であるスペックとタッカーそしてカールに事態の調査と解決を依頼する。
そこにはパーカーという男が浮かび上がってくる。そして、この男の霊が鍵を握っていることが判明するのであった。
・・・と、オカルトホラーなのだけども、霊とのバトル、サスペンスの要素が非常に強く、1作目が単にオカルトと家族愛を描いただけに近かったものが、本作では激しいアクションもあり、謎解きもありと、沈黙の何とかシリーズのような仕掛け満載のオカルトホラーアクション作品となっている。
ストーリーも、1作目の安穏とした家族愛を否定するかのように、事態の鍵を握るパーカーという男の崩壊した家族像が登場し、死んだ霊能力者エリーズが霊のまま大活躍とジェームズ・ワン監督+リー・ワネルらしいスリリングな作りがイカしている。
特筆すべきは、父親ジョシュを演じるパトリック・ウィルソン。
ジェームズ・ワン監督作の常連だが、いつも、イケメンのやさ男だったり、ただ人のいい人物だったりと、いまひとつ毒気のない"陰の薄い”役が多かったが、ここに来て、とてもいい父親と、(霊に取り憑かれ凶暴化し狡猾になった)父親の二役を、見事に演じ分けている。特殊メイクの力もあるのだろうが、話し方(口調)、目つき、まるで異なり、これはすごいと筆者は絶賛であった。パトリック・ウィルソン。一皮むけた。そのような印象であった。
また霊能力者エリーズの格好良さ。演じるはリン・シェイ。ホラー映画の常連で妙齢の御仁だが、なんともスタイリッシュに事態をひょいひょい解決していく。人情味のあるところもキャラ立ちしている。
SAW(ジェームズ・ワン監督+リー・ワネルの創作)シリーズの毒々しさから、抜けだし進化した新たな傑作といっても過言ではないだろう。
ともかくインシディアスそしてインシディアス第2章。2作品あわせて、一部の好きな方は必見。
普通の方には、あえておすすめはしない。