【音楽】リゲティとミクロ・ポリフォニー
スタンリー・キューブリック監督作品である「2001年宇宙の旅」「シャイニング」で登場する神秘的な”現代音楽(クラシック)”がリゲティ作品である。
筆者もリゲティ作品と初めて出会ったのは、やはりキューブリック作品であった。
ミクロポリフォニーとは、一種の音響効果・音響作曲法で、古典的なメロディーやリズム、伴奏などといった技法を使わず音そのもので構成した「音楽」というよりも「音響効果」と言った方がいいのかも知れない作曲方法の一つである。(あくまでも音楽ではある)
12音階(ドレミファソラシドの、いわゆる1オクターブ)の中に異なった和音、メロディ、リズムが同時に鳴る、と言えばわかりやすいのかも知れない。そういう言い方だと騒音とどう違うのかと言われそうだが、技法としてわかりやすく言えばそういう感じだ。
ひとつひとつのメロディは、きちんとしたメロディだが、同時に全く協調性のないラインでメロディを奏でるので、混沌とし、言葉では言い表しにくい神秘的な”音の塊”となる。
言葉で説明すればするほど、わけがわからなくなるので、聴いてみるほうがよい。
ミクロポリフォニーは現代音楽に熱く迎え入れられて、あちらこちら、どこでもミクロポリフォニーのような流行になった。
しかし新ロマン主義が台頭するころには、すっかり飽きられ、最近ではほとんど新作としては聴かれなくなった。そういう意味では”キワモノ”だったのであろうか。
それとも、日本で80年台から、どこでもテクノ、あちらでもテクノが、90年代後半にはすっかりあきられ拒否され、イカ天で生バンドが隆盛を極め、また数年前からテクノが復権したようなものだろうか。
筆者は、音楽を聴くとき、目をつむり、ひとつひとつの音を追いかけ味わいながら聴くことが多い(無論、いつもそうではなく、全体的な雰囲気だけ楽しんでいるときもあれば、主旋律=歌だけ聴いてるときもあるが)、多くのクラシック作品では、そうして”堪能” できるのだが、こと、ミクロポリフォニーに関しては、それがどうも出来ない。意図的に pp で演奏されていることもあるかも知れないし、そもそも非調性を強調するため故か、音の判別があえて出来ないような構成になっているのかも知れないし、筆者の耳が悪いのかも知れない。そういう意味で、同じ”堪能”でも、ミクロポリフォニーは、ほかのクラシック音楽系とは、また別のものである。
最近は、おやすみ前の枕元音楽は、こればかり。
心地よすぎて、よく眠れる(失礼!笑)
リゲティ・ジェルジュ ~ ルクス・エテルナ - YouTube