★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【音楽】Yellow Magic Orchestra(5)TECHNODELIC

f:id:tsuchinoko118:20120217042349j:image:left:w220通算6枚目のYMO作品。いわゆるサンプリングマシン(サンプラー・PCM音源のようなもの)で製作されたアルバムで、当日突如として出現したフェアライトCMIやイーミュといった高額マシンではなく、手作りの「LMD-649」で製作されている。サンプリングとは、おおむね、デジタル機器での録音で、いまでこそICレコーダーやスマートフォン等で、あたりまえのように高音質・長時間録音が可能になっているが、当時は、低音質・短時間での録音しかできず”非常に短い音”しか録音できなかった。これを逆手にとった音楽作品がサンプリングによる音楽とも言えよう。ともかく、かなり初期のサンプリングアルバムである。
前作のBGMでは、生楽器の使用は皆無であったが、本作では逆に生楽器が多用され、また、同じパターンを繰り返すミニマルの手法が取り入れられている(取り入れられているだけで、ミニマルというわけではないが)、そのミニマルっぽさが、非常に「テクノ」していると筆者は考えている。
そんなわけで、BGMの次に、いまだに愛聴しているヘビーローテーション盤が本作「テクノデリック」である。
シングルカットは、どういうわけか「体操」

たいそ、たいそう、みんな元気に、けいれん、けいれん。

というユーモアたっぷりの意味不明な歌詞。このユーモア精神がYMOだと思うが、筆者的には、あまり、この曲は好きではない(笑)

f:id:tsuchinoko118:20120217042348j:image:right:w220それまではディスコ、や、テクノポップを意識してか、非常にタイトでまっすぐな抑揚のないドラムであった印象が強かったのが、ここに来て、非常に複雑なドラムパターンなどが登場、うねうねした細野氏のベースとあいまって、非常に愉快な作品となった感がある。
反面、坂本氏の鍵盤アレンジは、このうねうねしたリズムを活かすためか、小説の頭にベタっとコードを抑えるような単調さが目立つが、これで、どうにか「わかりやすいテクノ」の体面をキープしている面がある。ベタっとはいいつつも、かなり複雑な分数和音であることが多いので、「わかりやすいテクノ」ではありつつも「エレポップ」のような超わかりやすい誰もが受け入れられるものではないのは、そこは、YMOがYMOであるがゆえんでありましょう。

かなり実験的な意欲作で、以降のYMOを予感させるもの・・・ではなく、次の作品は、とつぜんアイドル歌謡だったりするので、YMO(というか細野氏)はケイオースパニックなのでありますな。