★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【音楽】GRASS VALLEY

f:id:tsuchinoko118:20110727055208j:image:left:w240魅惑の低音。デビッド・シルビアンを真似たわけでもないだろうけど、うぇいわぇお、ちゃんと歌えといいたくなるほどに個性的な出口雅之(ボーカル)を筆頭に、本田恭之(キーボード)、西田信哉(ギター)、根本一朗(ベース)、そしてリズムマシンのように正確な上領亘(ドラムス)の5人組。
それが GRASS VALLEY である。
80年代後半に突如、北海道から現れ、90年代でその活動を終える。名前がソフトバレエと似ているので(似ていないが)筆者はよく間違えたものだ。

決してテクノというわけでもないのだが、作曲の中心にいる本田恭之のいかにもシンセサイザーという音作りと、リズムマシンのようなドラマー上領亘のリズムとインダストリアルなアレンジが、テクノ歌謡のような響きを醸し出していた。

筆者が GRASS VALLEY を初めて聴いたのは 2nd アルバムの「ムーンボイス」。ピコピコしたシーケンスパターンと、リズムの空間(何も楽器の鳴らない瞬間)が”上手”で印象的ではあったが、頭脳と計算で曲作りをしている感が強く、何かのコピーに聞こえるが、出口のワンマンで勘違いした(あるいは場違いな)絶叫がアンバランスで良かった。

つづいて発表された3rdアルバム「スタイル」の冒頭曲「スタイル」は上領亘の作品で、これが、おそろしくカッコイイ。

そこで、本腰を入れて、GRASS VALLEY を聴きはじめたところ、筆者好みの”カッコイイ”は前述の「ムーンボイス」と「スタイル」だけで、あとは、普通の歌謡曲といった感じのものばかりで、大変申し訳ないが一瞬であきてしまった(笑)

その後も、きっと、そのうち”カッコイイ”のを出してくれると期待し、結局、解散するまでずっとつきあっていたのだが、最後まで「ムーンボイス」や「スタイル」なものは登場せず、いわゆるバンドブームの中で大きなヒットもなく、一般受けを意識したような曲作りのまま消えていってしまった。たまに「ああ、おしい。もうちょっと」というところまで行くんだけども、それ以上がない。そういう意味では、可もなく不可もなくといったバンドであったことは否めない。
名前の似ているソフトバレエ(似ていないが笑)が、再結成もあり、また今も再評価され、ベスト盤などがデジタル音源として発表されているのに比べ、グラスバレーは中古CD屋でも発見するのが難しいほどの状態である。できうるなら「ムーンボイス」と「スタイル」の”音の良い”バージョンを再発してほしいものだ。

解散後、出口氏はビーイングに移籍REVとして活動、あいかわらずちゃんと歌うことなくアイドル路線を走った後どこにいったかわからない。本田氏は、マイペースのようだし、上領氏は多くのテクノバンドのサポートメンバーとして、あちらこちらを渡り歩いていたようだ。

筆者的には、もうちょっと、惜しい、そんな感じがする GRASS VALLEY であったりした。
たぶん一番売れた代表作「MY LOVER」をどうぞ。