【音楽】インナーシティ
テクノはテクノでも、シカゴで隆盛を極めたハウスの影響を色濃く受けたデトロイト・テクノというジャンルがある。その名の通り、シカゴの近所のデトロイトで始まったらしいテクノの進化形で、旧来のテクノが8ビート基調だったのに対し、16ビート基調でタメとツッコミが効いたテクノなところが特徴だ(と筆者は思う)。また、音色的にも、ストリング・パッドと呼ばれる、ブニョブニョしたアタックの強いシンセサイザーな音色で、コードを弾くというより叩く演奏形態が、当時は耳に新しかった。
もちろん演奏形態といっても、テクノなので、あくまでも機械演奏であって演奏者が弾くわけではない。
筆者は、このデトロイト・テクノをはじめて耳にしたとき、ハウスと、どう違うのかさっぱりわからなかった(笑)すると、当時、親交のあった音楽に詳しい友人に、「シカゴで作られたらハウス。デトロイトで作られたらデトロイト・テクノ」と、ワインの産地のような説明を受け、妙に納得したものだった。
そのデトロイト・テクノの中で、最も成功し著名なのは、やはり「インナーシティ」だろう。本来、デトロイト・テクノは、機械演奏のみ、というスタイルのはずだが、女性ボーカリストが入り、バンドという形態をして、もっとハウス寄りな、やたらと疾走感(ドライブ感)のあるポップな楽曲を産み出していった。
ちょうど、1980年代も半ばに入り、テクノに少々飽きが来た頃のことである。
筆者は88年発表の「Good Life」が大好物で、ほぼ毎日、いまだに聴いている超お気に入りだ。88年から今まで、なので,20年以上聴いていることになるが、CDもMP3も、すり切れることなく元気に、ぐっらい ぎっらい ぐっらい ぐっらい と 奏でてくれている。
いわゆる80年代も終わりに近づき、みなさん、80年代な楽曲に飽き飽きしはじめていた頃なので、聴いたことがない方も多いかも知れない。たしかに このインナーシティにしても、テクノが飽き飽きされ、PWLのユーロビート/ハイエナジーが飽き飽きされ、ハウスという変なテクノが出現し、その影響を受けての登場なので、決して新しさを感じるものでもない。ただ、非常に普遍的なスタイルで、今も、ハウス系テクノで多用されている元祖なバンドであり楽曲なのだ。
そう思ってちょっと調べたら、インナーシティの首謀者ケヴィン・サンダーソン氏は、デトロイト・テクノの始祖とされている一人だそうな。
あやややや。