【映画】ゾンビ(DAWN OF THE DEAD)
一時期長い間、マニアの間で、暴利とも思える価格で取り扱われていた本作のDVD。
数年前の DAWN OF THE DEAD リメイクを契機に、再発売・・ではなく、米国劇場版の廉価版(というか、普通の値段)が発売され、見たいときにいつでも見れるようになった本作は、ホラー映画の金字塔・ジョージ・A・ロメロの名作、モダンゾンビの元祖。は、あちらこちらで言われている名作である。
近未来。ある惑星が爆発し、宇宙から舞い降りる未知の光線によって、墓に埋葬された死体が甦った。
甦った死体は、本能のままにさまよい歩き、人間を襲い食べる。食べられた人間は、また、歩く死体となり、また人を襲い食べる。ねずみ算式に増加していく歩く死体の山。
歩く死体=WALKING DEAD は、ゾンビと呼ばれた。
街には、すでに、ゾンビがあふれ、脱出4人組は、モール(ショッピングセンター)を隠れ家にする。一作目の逃げ隠れしているうちに、小屋に閉じ込められた、という、シチュエーションと、似ているようでちがう。。。なにしろ、ショッピングセンター。好きなものが、何でも手に入る。まさに現代人の夢の城だ。
しかし、夢の城が手に入っても、強盗団、ゾンビの恐怖には、常にさらされている。消費欲・独占欲の裏には、つねに、なにものかに対する恐怖が介在するのだ。消費欲・独占欲とは、すなわち、外敵に対する恐怖と、同等の意味をもつ。
なんとも、すっとんきょうなBGM(by ごぶりん)のなか、ゾンビの恐怖は、いやおうなく盛り上がり、これでもかこれでもかという、カニバリズムの残酷描写に、気がつくと画面は、真っ赤な血しぶきに覆われている。
極悪な環境を描いているように、みえて、実は、わたしたちの棲む日常と、大差ない身近な出来事を描いているのだ、と気づいたとき、つまり、ゾンビとは、自分のことか、と思うに至るのである。まさしく恐怖だ。
本作は、その後、気をよくしたロメロ監督自身によって、DAY OF THE DEAD(死霊のえじき)、LAND OF THE DEAD、DIARY OF THE DEAD 、SURVIVAL OF THE DEAD と、どんどん新作が作られた。
創作・監督本人の手による大量の続編というのは、これまた、めずらしい。