★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【音楽】生・ペーソス

f:id:tsuchinoko118:20110608142422j:image:left:w300先日の日曜日(2011年6月5日)。ライブハウスジェラスガイさんの20周年記念ライブという催しがあり、ついに目にする生「ペーソス」を見る機会があった。

ボーカルの風俗ライター 島本 慶さんの、哀愁ただよいすぎる背中。 いやはや、これは・・・
ウワサには聞いていたが、哀愁ただよいすぎ・・・文字通りペーソス(哀愁)。

島本慶さんは、ちょっと深入りして調べると、「なめだるま親方(舐達磨親方)」という名で著名だったそうだ(過去形)詩の情景描写が、うまいなぁ、と、いつも思っていたのだが、さすが物書きは違う。

今日は最新CDから「焼酎のお湯割りをもう一杯」を披露。

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「夕暮れの居酒屋で カウンターの片隅に
 焼酎のお湯割りと 大根の浅漬けと
 テレビの前のテーブル席には
 銭湯帰りの後期高齢者たち
 焼酎のハイボールと白菜の浅漬けと

 テレビでは再放送の水戸黄門が始まろうとしている
 由美かおるの乳房がこぼれないかと
 かなわぬ夢を見ている。
 店のおやじは無言のまま くわえタバコで 
 無愛想にグラスを洗い 灰皿を取り替えている

 遅れてやってきたトビの田中ちゃん
 「よぉっ!負け組!」・・・
 「うるせいなジジィ。年金で毎日、酒ばっかりあおりやがって。
  はやくくたばっちまえ」・・・
 などと、店は笑いにつつまれる
 助さん格さんが ひと暴れしたその後に 印籠に驚いて
 へへーっとなった、そのときだけ店のオヤジも振り返る。

 私は冷めたお湯割りを飲み干したグラスを見る
 もう一杯のおかわりと バターピーナッツと
 ほろ酔い気分で 心地よさに酔いながら
 ささやかな自分のこの場所に 口元をゆるませる

 そこの場所が天国か まさかの地獄なのか
 戻ることも叶わぬ
 向かうところもない

 ただ お湯割りをもう一杯・・・」(つづく 6分を越える大作だ)

ドシラソファミレド。大逆循環コードの ワルツ(3拍子)に
つぶやくように歌う。
詞はあいかわらずムチャクチャだが、そのムチャクチャさの中で、場末の居酒屋の情景を丁寧に歌い上げる。
いつも爆笑することが多いペーソスだが、この歌の救いようのない哀愁の描写には、ほろりとしてしまった。
なめだるま親方 こと 島本 慶の最高傑作かも知れぬ。

居場所のないもの、蔑まれるもの、見下されるもの、見捨てられるもの。この歌に出てくる場末の居酒屋の客には、それぞれに、哀愁がある。
しんみりと「愛情」を感じながら聞き入ったのであった。

実際、会場でも、最初はクスクスと笑い声があがっていたが、

「戻ることも叶わず、向かうところもない」

のあたりから、場内は静寂につつまれ、楽曲が終わると大歓声。

「戻ることも叶わず、向かうところもない」

なんと哀しい詩なんだろう。
なんて寂しいのだろう。
なめだるま親方の観察眼に脱帽だ。

CDを購入し、iPhone でビデオを録ったら、ご本人らのCDよりも、かなり出来映えがよく公表したいところだが(ぜひ聴いて欲しいところだが)著作権のこともあるので控えておこう。

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CDといっても、紙CDケースにインクジェットプリンタで印刷してあり
TAIYO-YUDEN(That's)のプリンタブルCDーRと書かれたCDなのが。。。
ご本人の直筆サイン入り。1枚1枚、手作りなのですね〜。

生・ペーソス。
かなり良かった。また金沢においでの際は、ぜひ、見に行きたいと思う。

ペーソスのyoutubeサイト