★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】ヴァン・ヘルシング

f:id:tsuchinoko118:20120127060144j:image:left:w220ヴァン・ヘルシングという名は、ブラム・ストーカー原作のドラキュラ伯爵の主人公ヘルシング教授のもので、本作は、ドラキュラを独自の解釈で描いた・・・というよりも、徹底して黙殺して、ドタバタ・アクション劇に焼きなおした・・・というよりも、徹底して、監督のスティーブン・ソマーズ節に、置き換えたものである。

スティーブン・ソマーズといえば、やはりホラーの古典「ミイラ再生」を、リメイクと言い張って、「ハムナプトラ」なる原作と何のかかわりも持たない作品で、大ヒットさせたが、本作もまた然り。

ヘルシング教授、すなわち学者さんで、研究と知恵で、吸血鬼ドラキュラを倒すのであるが、本作のヘルシングは、教授どころか、”記憶を失った、ならず者”である。

同じく「X−MEN」で、”記憶を失った、ならず者”ウルヴァリンを好演、人気を博したヒュー・ジャックマンが、この新しい・・・というか、原作と何の関係もないヘルシングを熱演している。

f:id:tsuchinoko118:20120127060146j:image:right:w220
作品のポスターにも描かれている手裏剣(円盤型チェーンソーらしい)を投げつけ、蹴りを食らわし、殴り、連射式ガトリングボーガンを撃ちまくり、銃で魔物となった元人間を平然と殺しまくる。

研究と知恵は、どこえ消えたのか、体力で魔物を退治していくのである。

ジキル&ハイド氏、フランケンシュタイン、狼男に、ドラキュラ、と配給のユニーバサル所属モンスター総出演という豪華さで、ソマーズ監督らしく、アクションの連続で、観客は置き去りに駆け足で話が進み、”ナゾ”が、いつの間に解かれてしまい、正直いって、気がつくと、ドラキュラは倒されていた、という印象だ。

f:id:tsuchinoko118:20120127060145j:image:left:w220ドラキュラ俳優の演技(演出か?)も、まったく疑問で、「おれさまは、怖い存在なんだぞ〜」と、大げさで、不気味さのかけらもなく、これでは、ただのマッドサイエンティストか、街のチンピラだ。

他のドラキュラらしく紳士的であれとは思わないが、狂気というものは、本人が狂気だと思っている間は狂気でない。

それが当然と、ごく普通の態度、いつものことだと落ち着き、大人としての行動であるにも関わらず、ひとから見ると、それは狂気。そのとき、観客は、はじめて、恐ろしいと感じるのである。

つまるところ、”物忘れの激しい、ならず者”が、理由もなく、”やたらケンカの強いチンピラ”を暴力で黙らせる、ただのアクション作品である。

ただ、最新VFXが、おもしろい。