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★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】ミスティックリバー

あんまりオススメしない映画

米国映画界の重鎮となっているクリント・イーストウッド監督によるサスペンス。(ミステリーかも)
3人の幼なじみジミー、デイブ、ショーンが道ばたで遊んでいたある日、警察を名乗るあやしげな男にデイブは拉致され、性的虐待を受ける。
その後、離ればなれになった3人は、25年後のある日再会する。ジミーの娘ケイティが遺体となって発見されたのを期に。
犯罪者となり収監され今は足を洗って雑貨屋を営むジミーと、性的暴行を受けた過去がトラウマとなり精神的に混乱模様のデイブ、殺人課の刑事となりいつも傍観者然としているショーンは、再び複雑に絡み合い”どうしようもない”運命のぬかるみにはまっていくのだった。

ストーリーは、ケイティを殺したのは誰か、という推理サスペンスが基軸となっていつつも、3人の工作する人生を主体になっており、かなり重厚な人間ドラマの様相である。人生の中で起こる偶然、ほんのちょっとした気分でしてしまう選択。そうしたボタンの掛け違いが、どんどん主人公達を不幸のどん底にたたき込んでいく。ともかく、すさまじい演技合戦で、主演のショーン・ペン(ジミー)は主演男優賞、ティム・ロビンス(デイブ)は助演男優賞のアカデミー賞を獲得していたりして、正座をして味わう作品となっている。

驚くのは物語のラストに、ジミーの奥さんはジミーがデイブを殺してしまうことを許し隠し通そうとする。これを家族愛であるかのように描くところ。
はたまた、ジミーの幼なじみで、かつデイブとも幼なじみの刑事ショーンも、明らかにジミーがデイブを殺したことを知っていながら知らぬふりをする。これを友情であるかのように描くところ。

よい悪いはさておき、はたして「どうしようもなかった」「しかたがなかった」と、許すのは、いつの時もかなり難しい。人は、そうした許しが出来ないからこそ苦悩する。まさしく、ジミーが、許せないとばかりに、かつて密告をした「ただのレイ」を殺害し、ぬれぎぬを着せてデイブを殺害したことからしても然りだ。
実のところ、デイブも、ケイティを殺しはしなかったが、別の少年愛趣味者を「許せない」と殺している。
そして、ケイティを殺した実行犯も。ある出来事が許せないと殺害に及んだのであった。

欲にまみれた合理的な損得勘定。はたして、そこに「愛」はあるのだろうか。
妻がガンで死んだから。娘が殺されたから。
もっともらしい理屈を持ち出しながらも、単に自分の損得勘定で相手を殺してしまったジミーは、その後の人生をむなしく送る。

そして、それを埋め合わせているのは、超法規的に許してしまう彼の今の奥さんと、知らぬフリをして通す幼なじみだけなのだ。

事件の犯人以上に人殺しの主人公を描く人間ドラマ。ぜひ一度ごらんください。