★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】ヴィレッジ

f:id:tsuchinoko118:20120322070942j:image:left:w220「扉に記された赤い印」「語ってはならぬもの」。

M・ナイト・シャマランだとわかっているのに、すっかり騙されて、劇場へ足を運んだ。森に囲まれた小さな村。空気も情景も美しく、静かな映像が心地よい冒頭から、恐怖のどん底に叩き込まれるのかと、期待し、かなりわくわくしていた。

村の若者が「語ってはならぬ者」の掟を破り、森に足を踏み込んだり、小さな恋の物語があったりと、たわいもないストーリーが続き、ついに「ふれてはならぬ者」が登場するが、さすがシャマラン。思いっきり、かぶりものの怪しい人影を、はっきりと映し出している。はっきりと映し出してどうするのか。しかも、この「ふれてはならぬ者」、その姿で近寄ってくるものの何もしてこない。つまり、するどいカギ爪を振り回すでもなく、チェーンソーで襲いかかってくるでもなく、ただ「そこにいて、うろうろしているだけ」という体たらく。シチュエーションがよくわからない。

f:id:tsuchinoko118:20120322070928j:image:right:w300ある日、その「語ってはならぬ者」をさておき、小さな恋の物語が刃傷沙汰に発展、大切な人のため、”おそろしい”ふれてはならぬ者のいる森に入り、通り抜け、街に薬を買いに行くというブライス・ダラス・ハワード演じるアイビー。

その先には、信じがたい、いかにもシャマランなオチが待っている。

というストーリー。

結局の所、「扉に記された赤い印」「語ってはならぬもの」は本作の主人公ではなく、村の生活が主人公の作品。

恐怖映画のような演出、宣伝、サスペンスのような物語の展開。そういう進行ではあるが、実にたわいもない「村の生活」映画で、すっかり腰を抜かせてしまった。

やはりM・ナイト・シャマラン。ものすごく、つまらない映画を撮る。

半ばネタバレになって申し訳ないが、本作の「村」は、アーミッシュが題材になっている。つまり、世界的に高度になっていく”文明”から遠ざかり、昔ながらの生活をしている人々で、それを信仰としている一種の宗教団体のような生活者たちの住む村のことである。

f:id:tsuchinoko118:20120322070927j:image:left:w300しかし本作はアーミッシュを題材として取り上げつつも、ひどく一時的な感傷で、村の生活を始めたことになっており、また、村の生活を守るために、恐怖支配による体制を打ち立てと、本来のアーミッシュとは何の関係もない,非常に独善的な村の生活を描いていたりする。

そこで起こるハプニングも、そうした村の恐怖支配体制とは、ほとんど何の関係もない、小さな恋の刃傷事件で、えらくたいそうにものものしく演出されているが、いまひとつ盛り上がりに欠ける。

衝撃のラストを迎えたとき、村人たちよりも、観客が「えー、そんなんありかよー」とひっくりかえる演出にも、はなはだ疑問で、文学的な虚構なのかも知れないが、映像として魅せる映画作品としては、やはりC級未満になってしまうのが妥当な評価というものだろう。

なんだコリャ!?な作品(笑)