★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】キック・アス

f:id:tsuchinoko118:20120301123615j:image:left:w400なんといえば良いのだろう。おそらく”コメディ”なのだと思うが、きちんと主人公の成長やサクセスも描いてあり、一応、個人的な恨み辛みで悪を倒すことが目的になっているので、ダークヒーローものと言えなくもなく・・・

主人公の少年デイブは、スーパーヒーローにあこがれる典型的なギーク。ネットで購入したスーツを着込み、本当にヒーローになろうと思い込む熱血漢。ある日、集団暴行を見かけるや、ヒーローのコスチュームで果敢に飛び込み殴られ蹴られボコボコにされる。しかし、そのシーンをケータイで録画され You Tube に掲載されてから、”ホンモノのヒーロー”とすっかり人気者になった。その名は「キック・アス」。
そんなデイブは女友達が麻薬の密売人に絡まれて困っていることを知るやいなや、密売人の棲む部屋に一人飛び込み、危うく命を奪われそうになる。
そこに、突然現れた、小柄な少女。紫の髪に覆面、やはりヒーロー・コスチュームで、銃を撃ち、ナイフを投げ、またたく間に、密売人たちを殺害、血祭りにあげていく。あっけにとられるデイブに、ヒット・ガールと名乗り、もうひとりビッグ・ダディもいると告げ去って行く。
密売人の元締めであるフランク・ダミゴは、「キック・アスが部下(子分)を皆殺しにした」と勘違いして憤り、キック・アス殺害命令を下す。

・・・と、キックアスことデイブを主軸にストーリーを書くと、「なりきりヒーロー」のサクセスと戦いということになるが、

もう一人の主人公であるヒットガールを主軸にすると、

デーモン・マクレイディは、フランク・ダミゴに愛する妻を殺され、濡れ衣まで着せられ収監される。出所したマクレディは、娘に、銃を教え、格闘を教え、無慈悲な殺人鬼となるべく、娘に仕込む。娘は「ヒットガール」と名乗り、マクレイディ本人は、どう観てもバットマンの紛争をして「ビッグ・ダディ」と名乗り、麻薬の密売人の総元締めフランク・ダミゴに復讐を誓う。

・・・と、ダークヒーローのありえないキテレツさが描かれる。

そこに、本作の悪役フランク・ダミゴの息子が、同じくヒーロー・コスチュームを着込んで、「レッド・ミスト」となり・・・と

大混戦の話に突入していく。

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秀逸なアイデアに、きちんとまとまったストーリー。そして、誰もが、うわ、ひどい、と目を覆ってしまいそうな凶悪で残虐な殺人シーン。(この殺人シーンの大半は、悪役のフランク・ダミゴ一味ではなく、ヒットガールやビッグダディがやっている)

確かに、このタイプの作品は今までなかったかも知れない。

はたして「なりきりヒーロー誕生」とか「正義の心で悪をKILL」と、さも、明るい勧善懲悪のドラマなのかというと、ちょっと違う気もするし、たしかに「スーパーヒーロー映画」なのだが、よくある作品群とは、また違う「ふざけたところ」がある。

米国の人気コミックを原作とする”映画化”ということらしいが、公開されると大ヒットし、いま「キックアス2」も企画されているというウワサもちらほら・・・

多くのレビューが非常に好感的で、筆者もまた本作を好感している。

なによりも、米国の著名で信頼ある映画評論家のロジャー・イーバートが「道徳的にふとどきである」と本作を批判しているところからも、本作の”良さ”がにじみ出ているのだ。

予告編では「正義の心があれば誰でもスーパーヒーローになれる」と言っているが、作中に登場するスーパーヒーローたちは、動機もやってることも言ってることも、かなり道徳的にふとどきだ(笑)