★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【音楽】サザン・オールスターズ MISS BRAND NEW DAY

f:id:tsuchinoko118:20110821184152j:image:left:w240筆者は、サザン・オールスターズというバンドは正直言ってよく知らない(笑) よくカラオケで歌われている大衆歌謡だということは、承知しているが、いまひとつ興味の対象にならず、80年代以降日本を代表するバンドであった(過去形)であるにも関わらず、知らないままでいる。

しかし、たった1曲だけはレコードもCDも購入し、いまだにヘビーローテーションである。
それが「MISS BRAND NEW DAY」。

冒頭から8ビートの無機質なシーケンスパターンで始まり、生バンドのフリをしながら機械的なフレーズ、機械的な演奏、機械的なエフェクトで、ともかく「テクノ」な仕上がりになっている。

好事家によれば、この曲のPVは、性器をモロ出しにして踊ったりシュールな場面が多く、放送禁止になったとのことだが、歌詞の内容からして、バブル期の半ば気でもふれたかのような社会を歌っているわけで、表現方法としては最適な気もする。この曲が登場したのは、バブルの真っ最中で、株価が3万円を突破しても青天井、誰もが働かなくとも金が無限に増えていくような錯覚に陥った頃だ。

ポケットを叩くと、お札が2枚。
もひとつ叩くと、お札が4枚。
もひとつ叩くと、お札は8枚。
叩いていくたび、お札は増える。
こーんな不思議なお財布が欲しい。こーんな不思議なお財布が欲しい。

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それが現実に到来したわけで、その”カラクリ”に考えを及ぼす人も少なく、毎夜毎夜、全身を露出したような格好をしてディスコに繰り出し、酒乱のあとの無奔放な性行為が、「夢」などと称されていた頃である。

極度に刹那的なそれに警鐘を鳴らしたつもりなのかどうかはわからないが、ともかく、この「MISS BRAND NEW DAY」では、そうした理解不能な異常な社会現象を歌詞にしたためている。このため、歌詞の内容は、意味不明に近い(笑)

時代は進み、当然のようにバブルは崩壊する。失われた10年とも呼ばれる長引く不況を産み出したが、依然として、「株」「FX」などの”投機”で、金が金を産むシステムによって、金そのものを増やそうということは、繰り返される。ブランドに価値を観て、他人と自分を比較することに価値を観て、個性とはいうけれども、結局は物まねに過ぎず、本当の自分をも捨ててしまう。そうした”拝金教”の行く末を批判的に歌っている「MISS BRAND NEW DAY」は、発売後20年以上経った今でも、するどい社会風刺として、まったく新鮮さを失っていない。

f:id:tsuchinoko118:20110821184150j:image:left:w240桑田佳祐の才能もあるのはもちろんだが、何回痛い目にあっても懲りずに、金が金を産むという信仰をもち、他人のことより自分、自分、自分、自分。そうした愚行を繰り返し、信念をもって正義だと唱える人間の性によるのかも知れない。

そうした事情があるのかどうかはわからないが、サザン・オールスターズのベスト盤にもよく登場し、2005年には再発されている名曲でもある。