★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】ビデオドローム

f:id:tsuchinoko118:20110615190146j:image:left:w220ザ・フライの成功?(成功したのだろうか?)に続いて、クローネンバーグ監督のメジャー会社配給もの第二弾。

小さなケーブルテレビ会社の社長が、刺激的なエロ作品を捜し求めていると、”ビデオドローム”と呼ばれる作品に出会い、次第に、幻覚にとりつかれ、現実との差がなくなる(わからなくなる)。そのとき、影には、おそるべき陰謀が。。。

バーチャルリアリティもの、といえばいいのか、ビデオを見ていると脳に腫瘍ができ、それが幻覚を見せる。という、あいかわらずデタラメな設定で、ぐいぐいと、強引につきすすんでいくストーリー展開。拳銃と肉体が同化するグロ描写などのせいか、カルト映画と呼ばれ、マニアの評価は高い。

しかし、よく考えてみると、拳銃と肉体は同化しないけども、テレビやビデオの見すぎ?は、現代の病理にも、つながるものがあると思うのは、考えすぎだろうか。

f:id:tsuchinoko118:20110615190145j:image:right:w240わたしたちは、さまざまなメディアからの情報で、疑似体験をしている=つまり、それが現実のような錯覚をしていることが、非常に多い。つまらないことだが、テレビで見た美味そうなラーメン屋に、実際に食べにいってみたら、まずかった。。。というようなことが、日常茶飯事。事実のようで事実でなく、知ったかのようで全くわかっていない。”テレビ”というメディアは、虚構に過ぎないのかも知れない。

殺人や戦争についても、いえるかも知れない。情報は、たしかに、わたしたちに選ぶ権利があるのだが、ほんとうにイラクで戦争が起こっていたのだろうか。。。。WTOビルは、ほんとうにテロ攻撃にあったのだろうか。。。。原発は安全なのだろうか、危険なのだろうか。

私は、隣人に命を狙われていないのだろうか。。。。
f:id:tsuchinoko118:20110615191017j:image:w560虚構のなかで、そもそも何が真実で現実なのか、わからないまま、よくわからない不安と恐怖の中に怯え、ますますテレビからの情報で安心しようとする様は、あたかもドラッグのようだ。

主人公マックスも、何が現実なのか微塵も理解しないまま、”その陰謀”に向かって、一人孤独な戦いを挑むのである。

続編ではないが、「イグジステンズ」という同監督作品があり、”体感ゲーム”という題材で、本作と同様のことをやっている。焼き直し、とも言われ、わかりやすいビデオドロームとも呼ばれ、「原点回帰」とも呼ばれる「イグジステンズ」。

ビデオドロームは、クローネンバーグ監督の”原点”なのである。