【仕事】キャップレス・デシモ(万年筆)
若かりし頃、二輪車で転倒して以来、手首に力が入らず、時々、持っているものを落としてしまうことがある。昨年、自転車で転倒して右手首を骨折してからは、ボールペンを握って文字を書くことさえ、まともにできないときがある。リハビリの甲斐あって、最近は小康状態であるが、それでも筆記具を握って、紙に文字を書くことが大変だったりする。
パソコンやスマホがあり、最近では文字を書かなくても済みそうなライフスタイルも可能だが、「書く」という行為そのものが、記憶になり、思考になり、理解となり発想となるので(IT業界にありながら、いささか古い思考なのかも知れないけれど)ともかくメモを取る、紙に書いて考えることにしている。
さて、困ったのは、とくに昨年の骨折と予後で、油性ボールペンだと、そもそも筆圧がなく字が書けない、水性ゲルインクのボールペンでも30文字ほど書いたら、痛くて疲れて指さえ動かないことがあったことだ。
そこで、ほぼ「筆」な、万年筆を使うことにした。
もともと80年代女子の文具オタク出身なので(笑)高級筆記具である万年筆は好きだったのだが日常的に愛用するまでは使ったことがなかった。万年筆のよいところは、スタイリッシュだとか、雰囲気とか、その手のファッション以外に、筆圧がさほどいらないところが良いところだ。
墨と硯の「筆」と、いい勝負で、毛細管現象で書くため、紙に強く押しつける必要がない。軽く、なでるように、紙の上をすべらせるだけで、文字どおり「さらさら」と書けるのだ。
ただし、万年筆は、インクが乾かないように、くるくる回すキャップがあり・・・・あれが、面倒くさい面がある。(もちろん、さあ書くぞみたいなときはいいのだろうけれど、日常使いで骨折した腕でキャップを強くつまんで回すのは、とても大変なのだ)
そこで「キャップレス」=ノック式の万年筆を使うことにした。
細身で持ちやすいパイロットの「デシモ」。
普段は、こんな感じで、ペン先が収納され(隠れて)見えない。これでペン先のインクが乾くのを防いでいる。
背中のノック式ボールペンのようなボタン。これを押すと(指で押さなくても、机に押し付けても(笑))・・・・
ペン先が出てきて、すぐに万年筆として使うことができる。
・・・という優れもの。
その機構から、最初は「インクが乾くんじゃないか」「漏れるんじゃないか」などなど、非常に多くの心配をしたが、その機構は伊達ではなく、骨折が一応完治した今でも愛用しているくらいに実用的なのだった。
インクは、カートリッジ式(使い捨て)も使えるが、筆者はCON-50 のコンバーターを愛用している。万年筆用のインクにコンバーターのついたペン先ごと浸けて、くりくりっと回すとインクが吸い上がる=補給される。なんどか繰り返すと、ペン先のゴミの掃除にもなったりするので、手入れが楽だということもある。
一度補充すると、朝から晩まで書いていれば2日ほどでなくなるようだが、筆者の使い方だと、2〜3週間は持つ。
ボールペンに比べ、高額だし、また、手入れも面倒・・・ではあるが、さらさらっとした書き味、筆圧不要で、手が疲れない。何にも変えがたいメリットだ。
使うとすぐ気づくが、もうひとつ、面倒くさいことがある。
写真は筆者のノート(システム手帳)。左にピンクのインデックスシートのようなものがあるが、これは、吸取り紙(笑)
そう。万年筆のインクは水性なので、乾くまでに触ると・・・・
ティッシュでもいいが、ともかく、書いた後、しばらくおいて乾くまで待つか、または吸取り紙などで余分なインクを吸い取らないと、無残なことになってしまうのだった。
当然ながら、裏写りもある。
よく売られているシステム手帳の紙だと、薄いこともあり、すぐに裏まで写ってしまう。
また万年筆のペン先が引っかかるものもあったりする。
筆者は、エトランジェ ディ コスタリカの方眼を使っている。これがなんと、万年筆と相性がよいようで、書き味もなめらか、裏写りもなく、乾くのも早い。
で、ピンクの吸取り紙。
当然ながら、書いたあとのメモは、くっきり真っ黒で非常に見やすく、また、下敷きがあってもなくても、次ページに書いたあとが残るというようなことがない。また手も全然疲れない。思考に専念できるのだった。
書かなくても済むスマホ、書かなくても済むパソコン。便利な道具はあれど、書くということはとても大事。書かないと「薔薇」とか書けなくなっちゃう(笑)のはもちろん、考えること、そのものの能力が低下してしまいそう。いやほんと。IT業界に臨在し、本当にそう思います。
筆者が愛用しているキャップレス・デシモ万年筆(パイロット)は、こちらから。
同じく筆者が愛用しているシステム手帳用の用紙、エトランジェコスタリカ方眼はこちらから。
さらにシステム手帳用のライフ吸取紙は、こちら。
ついでに、骨折した時の・・・・(笑)
(苦痛に耐えながら脂汗をかいてボールペンで筆記(笑))
万年筆で(意外に効率よく)楽しく仕事してみませんか?