★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【PC】NEC MultiWriter 5600C(1万円のカラーレーザー)

f:id:tsuchinoko118:20120701083622j:image:left:w260先日、お仕事で「作業指示書」を事務所から500mほど離れた工場で印刷させたい、というご相談があり、そういうシステムを組んだ。
敷地内ではなく市道を経た先なので、LANでは難しいからVPNからインターネットで伝送か、データの伝送方法はさておき、最も頭を悩ませたのが「出力用のプリンタ」であった。

こちらの「作業指示書」が様々な事情で”絶対にカラーでないとダメ”で、図面などもあり、工場は非常に狭くパソコンの設置場所も苦しいほどで、鉄を切ったりする工場なもので鉄粉が舞い、夏は40度にもなろう場所なので、精密機械であるプリンター。しかもレーザーでカラー、という要求に一体どういう機器を選択すればよいか頭をひねりまくっていたりした。

通常ならA3の10万円近く(あるいはそれ以上)のカラーレーザーをドデンと置くのだが、そのスペースがなく、また昨今の事情で予算も抑えたいが、印刷品質は高度なものが必要で、そこそこの速度もほしい。なによりも、精密機械にとって非常に過酷な環境で使うので、すぐに壊れてしまっては困る、と、非常に難しい難題で苦悩に悩みまくったりしてしまった。

久しぶりに現在流通しているレーザー(またはLED)プリンタを調べることしきり、実勢価格で1万円のカラーレーザーが出回っていることを知った。
1万円!?
1万円なら、インクジェット並ではないか。
いったい、どういうものなのだろう。

10万円近くのものは10万円近いままで、とくに全体として価格が下落したというわけでもなさそうだ。

そのココロは、交換できない部品だらけで”使い捨て”、トナーが高価でお得感がない、マルチトレーのようなオマケ機構が極力減らしてある、のような”工夫”で、実現しているようで、この傾向というのはここ数年でかなり進んだようだ。

お仕事でのお題では「過酷な環境」というのがあったので、筆者も発想を根本的に変えて「壊れない」ではなく「壊れてもいい。壊れたら買い換える」という方向に頭をシフトして、NEC の MultiWriter 5600C という機種で導入した。

あまりに安いので、どんなものか気になり、胃が壊れそうになったが、実際使い出してみると、「けっこう静音」で「印刷品質もそこそこ良く」「速度もまあまあ」であって実用性があったので驚いた。

こういう価格帯なので家庭向けなのだろうけれども、そんなに速度を要求せずマルチトレーのような機構を要求しないのなら、十分業務用として使える。もちろん、「約3万枚」印刷してしまえば、ドラムの寿命となり「交換できない仕様」なので、オシマイだ。(つまり、買い換えることになる)。

とりあえず自動印刷で2ヶ月ほど稼働させているが、とくに問題はない。

計算してみると、こちらの工場の場合、およそ2年で壊れることになり、10年使うつもりで高額のレーザーとトナー代も含めて検討してみたが、さほど変わらず、むしろ「壊れたとき、あっさり、買い換えて済ます」という”安心感”の方が大きく、この機種のチョイスに今のところ満足している。

性能面や仕様面で、従来のいわゆる「レーザー」に劣るのは価格から考えて当然のことと割り切れば、十分に使えるということであった。


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たまたま、別の会社さんで同型機を知らないうちに導入されていて、先日壊れたそうだ。こちらの会社さんは、「安いレーザー」という発想しかなかったので、”使い捨てで買い換える”という発想がなく、「やっぱり安物はすぐ壊れますね。修理代も、ものすごくかかってしまった」と、交換できないドラムを交換してもらったそうだ。
おどろいて「買い換えなかったんですか?1万円なのに?」と、問い合わせると、「え!?」と、今さらながらに気づいたような反応をされていた。長いこと、普通のレーザーを利用してこられた会社さんだったので、「壊れない」「壊れたら修理」という固定概念に飲み込まれていたようだった。

さて、筆者も、実際に導入するまでは、「安かろう・悪かろう」の1万円商品ではないかと、ひどく不安であったが”使い捨て”なら「なるほど、こういう方法論もありか」と納得してしまったところがある。

もはやレーザーも白物家電なのだな、と、時代に感覚がついていけなさそうで、なんとか、ついていけそうで・・・ と、少々混乱気味でありながら、当社も今度は1万円レーザーにしようと心に固く誓ったのであった。