【映画】バットマン
バットマンに、マイケルキートン。悪役ジョーカーにジャックンコルソン。監督にティムバートンの実写化アメコミである。
架空の街ゴッサムシティで、コウモリの装束をしたバットマンと、街の平和を乱す悪人との戦いを描く。シリーズ化され、すっかり、おなじみの第一作目が本作。(最近では、クリストファー・ノーラン監督版もおなじみ)
冒頭、チンピラと戦うバットマンのシーンがある。
チンピラは、”夜のコウモリ”のウワサ話をしながら、いま、強盗したばかりの金を数えている。
背後から、バットマン。いきなり、バットマンに銃弾を浴びせるチンピラ。
ここで必殺技を繰り出すでもなく、すばらしい運動力で弾丸を避けるでもなく、もろに銃弾をくらって、倒れるバットマン。
あまりのあっけなさに、逆に驚くチンピラ。倒れたバットマンに近寄ってみると、特殊な鎧(よろい)らしきもので、身を固めた、普通の人間であることに気づく。
防弾チョッキのようなものだろうか、たちあがるバットマン。これまた、硬そうなグローブをはめた手で、チンピラを殴る。
そして最後にキメセリフ。
「バットマンだ。ボクのことを言い広めるんだ」
バットマンという映画作品については、ここで全てが語られている気がする。スーパーマンのように、地球を守る気高い精神&体力の持ち主でもなく、高校生とはいえ、やはり特殊能力をもったスパイダーマンでもなく・・・ etc etc
はっきりいって、ものすごく歪んだ精神の持ち主で、ヨロイに頼った普通の人間。
作品中では、その後も、正義感なんかどうでもいい、ものすごく個人的な精神と、高いところから落ちると、きちんと着地できず、とりあえずぶっ倒れる”ひ弱”なバットマンが、描かれている。
ジャックニコルソンの、おなじみの気のふれた高笑
い。おそろしく個人的で、ひ弱なバットマンの戦い。正直、カタルシスも何にもないのだが、むしろバットマンという作品のおもしろさは、そこにあるのではないか、と思う。
音楽は「プリンス」ということになっているが、ダットダンスが挿入曲として使われた以外には、バットマンからひらめいたコンセプト作品のようになっているので、映画とのタイアップという感はうすい。ほとんどは、ダニー・エルフマン。本作の監督であるティム・バートンとのおなじみの名コンビである。
いまの非常にマジメなリアル路線のバットマンも良いが、バットマンといえば、このデタラメさが「らしい」と言えば「らしい」と、筆者は常々考えている。