★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】SPACE BATTLE SHIP ヤマト

筆者は世代的には「ガンダム世代」になるので、宇宙戦艦ヤマトについての思い入れがあまりなく放映当時もヤマトよりもアップダウンクイズの方を観ていたりした。知識的にも松本零士のキャラクター設定のインパクトがあまりに強烈で、原作者は西崎義展だということがあまり理解できなかったほど知らない。とはいえ一応アニメ映画も観てたので「キムタク主演・黒木メイサがヒロイン」にさらに「山崎貴監督」と追い打ちをかけられ観ないと決めていたのに、映画の無料チケットをいただいてしまい、なお悪いことに、その日は他に観るものがなかったという非常に消極的な理由で本作を観たのは、2年前のクリスマスの日であった。
劇場は、いつになく大入りで、なんと観客20人!(いつもは、どういうわけか5人に満たないことが多い。大丈夫なんだろうか、この劇場)

内容は、1作目の宇宙戦艦ヤマトの話を、いじったような中途半端なリメイクという感じで予告編などから、あらかじめ知ってはいたがなんと、CGの軽いこと、軽いこと。CGだから軽いのではなく、VFX兼監督の山崎貴氏の表現力はとにかく軽い。カメラを理解しているのかいないのか、平坦でオモチャのような軽さ。もう、これで、致命的な悪印象であった。そもそも、ヤマトが、ブリキか、薄いステンレス鋼で、出来てそうで、プラスチックのトンカチで叩けば、へこみそう。


実写版・プラモデル
アニメ版・戦艦大和

プラモデルよりも重厚さがなさそうに見える。
ワープも、スターウォーズやスタートレックの高速艇のような速さで、軽いのなんの。ブラックタイガー機との対比が最悪で、同じように描いてしまってるから余計、軽い。カメラは寄れば、デフォルメされるものだが、それもなく、ひたすら全体が見えるように普通にしか出てこないから、ものすごく、おもちゃくさい。ショックカノンも、軽い。反動なしで、くるくる動く。波動砲なんか「耐ショック!耐閃光防御!」と、言ってるのに、ショックもなさそうだし閃光は、ふつうのビーム光線程度。
なんじゃこれ。

宇宙ものにしてCGがチャチくてはどうしようもない。

さらに予想はできたことだが「キムタクショー」になってしまってて、宇宙戦艦ヤマト・滅び行く地球・実はガミラスも生きるために戦っていた、などなど”人類滅亡”の危機、という大義名分は、なんにもないかのように、艦内の一部のメンバーの、もめごと、と、仲直りという くだらない「中学生日記」が繰り広げられる。
株式会社ヤマト商事の”トレンディードラマ”のようで、もう、あくび出まくり。

ガミラスを人類と同じ方々として描かず、異形の異星人、よくわからない意識体にしてしまい、機械的な描き方をするもんだから、余計に、「悩まない主人公と仲間達」になってしまってて、あまりに、あまりだ。

みながみな、「愚連隊」というか、チンピラというか、チーマーのようでガラが悪い。なにかにつけては、酒を飲み、酒場でもめごとを起こす。地球を救う使命の重責までは、いかなくとも、せめて、せめて、滅び行く地球のみなさんという自覚がない。あの森雪でさえ、酒をかっくらって愚痴をいうのだ。2度も。佐渡先生の性別よりもまえに、そんなに、みんなが、酒をのんで暴れていては、佐渡先生の必要性がなくなってしまう。(事実、佐渡女性医師は、ただの看護師だった)

ガミラスの設定を、イスカンダルとの二重星にせず同じモノ、マンダラのように表裏一体にしたうえに、実は、「うそだった」ことにしてしまいSFというスタンスを、根底からひっくりかえすような、仏教的精神論に、ファンタジックなオカルトを持ち込んだのは、完全に失敗だろう。
はっきりいえば、わけがわからない。

ここまでひどいのは、「デビルマン」以来だ。

最後に、本星でさえ出てこなかった、ボスキャラが登場したときには、もう、限界を感じ、席を立とうかと思ってしまったほどだ。(実際、席をたって出て行ってしまった観客も数人)

そして、お涙頂戴の、自爆劇。
キムタクとキスしかしてない黒木メイサに、子供がいる、という不可思議なエンドロール。
劇中、さんざん出てくる「夢」「希望」という言葉も、軽々しくて、どうにも説得力がない(それどころか無責任だ)監督・VFX(CG)・脚本・出演者、全部だめだめのオールスター新春隠し芸大会。それが SPACE BATTLESHIP ヤマト でありました。

「日本最高峰のVFXチームを率い、最新技術を駆使した圧巻のCG映像が見どころ。」

どこがじゃ。