【映画】デッドゾーン
スティーブン・キング原作。デビッド・クローネンバーグ監督作品。主演はクルストファー・ウォーケンがつとめる。
不遇の事故で、触れるだけで相手の未来を知る超能力を身につけてしまった男(クリストファーウォーケン)は、ひょんなきっかけで、下院議員選挙に出馬する男(マーティンシーン)の未来を知る。
男は、大統領に選ばれ、その直後、核ミサイルでロシアを攻撃する未来だ。
事故、身につけた超能力のおかげで、不幸な人生を送ることになった彼は、誰も(当の本人さえも)知ることのないデッドゾーン=記憶に、決着をつけるべく、ある決断をする。
超能力者は悪と戦うどころか、バケモノ呼ばわりを受け、差別的な世間と接することになる。誰も理解者はいない。孤独なのだ。
神を呪い、人を呪い。。。
しかし、愛だけは失わない。
いつものクローネンバーグ節は炸裂せず、ぐちょぐちょどろどろの世界観を見せられるわけでもない。ただ丁寧に繊細に、キングの原作を映像化する。オカルトホラーではあるけれども、感動のヒューマンドラマ。見た後に、生き方を考え直さないといけない、と、思わされるほどにパワフルなメッセージ。
超能力とは、自分の望みが叶う魔法の力ではなく、文字通り「超」能力。特技・趣味といった個人の性質の1つにすぎない。時には、望む望まないに関わらず自らの、そして相手の運命を左右する。「超」能力は、どちらかというと、うらやましくもなく憧れるべきでもなく、誉めるものでもなく、利用されるか、でなければ迫害されるのが、世の常だ。
その悲哀を前面にクローズアップした桂作。