【音楽】タンスが産み出す LOGIC SYSTEM
いわゆる国産テクノの代表格YMO(イエローマジックオーケストラ)が活躍していた頃、そのピコピコのマニュピレーターを一手に引き受け「第4のYMO」と呼ばれていた松武秀樹氏。YMOでの裏方仕事の裏でこっそり彼自身の作品として発表されたのが一連の「LOGIC SYSTEM」作品である。
昨今では、シンセサイザーという言葉もなかなか聞かれなくなってきて、録音された音だけでは、それがシンセサイザーという機械が作り出すものなのか、PCM音源のサンプリングされた音なのか、生で奏でたものなのか、ほとんど聞き分けがつかないが、当時(約30年前)は、”シンセサイザー”という電子音の発振器で、聞けばすぐに分かる「ピコピコ」音。これを前面に押し出した”テクノ”サウンドが、大変、露骨だった。
おそらく、当時は斬新で最先端だったのだろうが、今や、懐かしのピコピコサウンドである。
それから数十年を経て、多くのテクノが消えていく。YMOも、復活したとはいえ、当時のピコピコはどこへやら、彼らにとって、かの当時のピコピコはもう終わってしまったものに違いない。
しかし「LOGIC SYSTEM」は、あきることなく、今日も、昔と変わらぬ「テクノ」を奏でるのだ。とはいえ、デジタル化の波で、いわゆる当時のシンセサイザーはなりを潜め、ずいぶんとキラキラした音に変わり、やはり時代が変わった感は否定しようがない。
ぶっとい発振器のアナログ・シンセサイザー。
柔らかく丸く、ぶにゅぶにゅした、いかにもシンセという音。
「タンス」と呼ばれたタンスのようなモジュール・シンセ E-mu(イーミュ)を中心に据えた「LOGIC SYSTEM」の代表的な作品は4作品。
1作目でありデビュー作の「LOGIC」
2作目であり創世記をモチーフにしたドラマ仕立ての代表作「
VINUS」
3作目にして歌謡テクノ、これぞテクノと押しまくる「東方快車」
そして、どういうわけか、ごく最近。
押し入れの奥から、「タンス」をひっぱりだして、よみがえらせた上に、デジタル楽器と同期させ、古く懐かしいようで新しい快作の「TANSU MATRIX」
昨日も今日も明日も、よくも飽きずに聴いてる筆者も筆者。どうしても、ここから抜け出せないのであったりする。