【映画】刑事グラハム/凍りついた欲望
原題は「MANHUNTER」。原作のタイトルは「レッド・ドラゴン」。トーマス・ハリス原作のハンニバル・レクターシリーズ第一弾である。この5年後、第二弾「羊たちの沈黙」が大ヒット・アカデミー賞を獲得し、第3弾「ハンニバル」公開、そして第4弾「レッド・ドラゴン」がリメイクされる。第2弾以降の一連のレクターシリーズは一貫してアンソニー・ホプキンスがレクターを演じているが、本作では、後のウィリアム・ストライカー(X-MEN)ブライアン・コックスが、もうちょっと精神科医の犯罪者風で演じている。ストーリーは、なにしろ「レッドドラゴン」なので、後に公開される映画「レッドドラゴン」と何ら変わりはない。ちなみに「刑事グラハム」というタイトルではあるが、刑事グラハムは登場せず、FBI捜査官グレアムが登場する。
刑事ウィル・グレアムが、猟奇殺人犯を追う、事件の解決のため”檻の中の名探偵”食人鬼ハンニバル・レクターを訪問する。
監督はマイケル・マン。「マイアミヴァイス」の監督さんなので、非常に淡々とした演出で、ふつうの刑事ドラマのような印象だ。そのせいか、あきらかにおかしいレクターとダラハイドが、以外に普通のナイスガイのようになっていて、印象が薄いのはいかがなものか。しっかり大赤字の大失敗だったようだ。
後のレクターシリーズを観ると、いかに、事件・主人公のFBI捜査官研・レクター・犯人すべてが異常なのかがよくわかる。そしてまた、その異常さがしっかりくる原作の内容だったりもする。普通の刑事ドラマではイマイチなのだ。
ホラーに見まがうほどの猟奇性が合う。
ウィリアム・ピーターセンのグレアム、ブライアン・コックスのレクター、トム・ヌーナン(ロボコップ2の悪役)のダラハイド。どれも、なかなか良いのだけど、どこかものたりない。それはひとえに、普通の刑事アクションにしてしまったマイケル・マン監督の失態であろう。だいたいダラハイドのエピソードが削られすぎていて、事件の猟奇性がさっぱりわからないのは致命傷だ。
ひところ「羊たちの沈黙」にあやかって「レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙」というあやしいタイトルでビデオソフトが販売されていたが、なにかと不幸な本作ではある。
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