★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【音楽】Yellow Magic Orchestra(6)浮気な僕ら

f:id:tsuchinoko118:20120221112605j:image:left:w220通算7作目は、とつぜん「おじさんアイドル」に転向し、安易に売上確保のための作品のように思えてしまうが、意外にそうでもなく、しばらくの間のソロ活動の影響か、細野氏、高橋氏、坂本氏の3人3様が、BGMやTECHNODELICよりも顕著に表れた快作でもある。
はたして、本作が歌謡曲でもなくエレポップでもなくテクノなのかというところには、やや疑問符がつくが、当時のアイドル歌謡曲とは確かに一線を画し、やたら高クオリティな楽曲群には度肝を抜かれる。
エレクトリック楽器の進展からか、第4のYMO(笑)松武秀樹氏は、本作からは制作に携わっておらず、松武氏らしさも消え、ずいぶんと今までとは異なった香りの漂う本作でもある。

f:id:tsuchinoko118:20120221112604j:image:right:w220化粧品のCMとタイアップで「君に、胸キュン。」(たぶんYMOの中で一番売れた曲(笑))が収録され、おじさんたちが「キュン!」と歌うその姿に、恥ずかしさもあり、楽しさもあり。
いわゆるヒットソング・バラエティの音楽番組はもちろん、当時流行していた漫才番組にも、よくわからないラジカルなネタで「トリオ・ザ・テクノ」として登壇。遊んでいるのか、ふざけているのか、まじめにセールス活動をしていたのか、よくわからないが、筆者も心より楽しみながら鑑賞していた記憶がある(笑)

反面、本作に収録されている日本語の歌詞からも、伺い知れるように、あるいは、当時の彼らのインタビューの会話からも想像できるように、はたまた、高品質な歌謡エレポップを発表したことかも考えられるように、YMOとしての活動も、そろそろ完成、解散するのではないかというウワサもチラホラ耳にするようになった。
アルバムとしての完成度も、(それまでの半ば消化不良な実験的姿勢ではなく)実は、「完成」していたのだった。

とくに最後の曲「WILD AMBITIONS」では、YMO唯一の細野氏と坂本氏の合作となっており、敵対関係ではないだろうが、それまで協力していなかったような組み合わせが実現、まさしく「ラスト」を飾っている。

そして次作、いよいよ解散(散開)への向かうことになるのだった。