★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】金田一耕助の冒険

f:id:tsuchinoko118:20121029181726j:image:left:w260金田一耕助といえば横溝正史作品に登場する名探偵で、角川映画作品「犬神家の一族」「八つ墓村」「獄門島」「病院坂の首くくりの家」など、おどろおどろしいオカルトホラーを前面に押し出した多数の映画・ドラマの主人公である。古くから片岡知恵蔵、高倉健、中尾彬、西田敏行など多くの俳優に演じられているが、石坂浩二・古谷一行のイメージが最もしっくりくる(のであろう)ことで著名だったりする。近年では、彼の孫が「じっちゃんの名に掛けて」推理で事件のナゾを解くマンガ作品やアニメも登場しているので、知らない人はいないくらい著名なのだろう。

多くの場合は事件はオカルトホラーな猟奇性を有しているが、種をあかしていくと、遺産でもめて殺し合いというのが多いような気がしている(個人的な見解です)し、探偵が現れてからも、次々と殺人事件が起こり、最後まで犯行が阻止されず、全部おわってからナゾが解明されるという、防犯意識の低い探偵であるような気もしている(個人的見解です)。

そんな金田一耕助を主人公に、さまざまなCMや映画のパロディを交えつつ非常にシュールで意味不明なコメディとして製作されたのが本作「金田一耕助の冒険」である。
本来は、横溝作品の短編集のタイトルなのだが、そのうちの一編「瞳の中の女」を題材にして、事件そのものよりもパロディで埋め尽くされた変な作品でもある。

f:id:tsuchinoko118:20121029181744j:image:right:w320金田一にはテレビドラマの方で人気を博した古谷一行。よく現場に現れるワトソン君のような等々力警部に田中邦衛。なぜ金田一が現れると死体がゴロゴロ出てくるのか、はたまた、なぜ金田一は事件を阻止せず犯行が最後まで行われてから謎解きをはじめるのか、など、金田一ファンなら誰しもが持つ疑問に直接答えてしたりする(笑)とくに、なぜ最後まで放置するのかについては、カメラの前で古谷一行演じる金田一本人が熱弁をふるい言い訳をするという、ずいぶん風変わりなストーリーだったりもする(笑)

正直行ってしまえば、最初から最後まで、わけがわからない。
たぶん、筆者がテレビも見ないし、気に入った映画しか見てこなかったので、パロディの理解ができるカ所が少ないからかも知れない。

オカルトホラーで探偵ミステリー。これが金田一耕助シリーズの基本だと考えるが、本作には、それを根底から否定した(嘲笑しているかのような)バカバカしさがある。
監督は、なにかとシュールな大林宣彦。

f:id:tsuchinoko118:20121029181818j:image:left:w240明示こそされていないが「すっかり平和になり、おどろおどろしい殺人事件は起こりようがない現代日本で、有名人となりテレビにグラビアと大忙しの金田一耕助」そのものが、夢であり幻だったりするオチなのかも知れない。

何回も見たいと思わないが、10年に一度は必ず見ている、不思議な作品。
(そんなわけで、筆者は4回見ている)