★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】カイジ2〜人生奪回ゲーム〜

f:id:tsuchinoko118:20111114080936j:image:left:w220福本伸行原作の実写版「カイジ」の第2弾。「明日を夢見ながら」、「とりあえず今日は何もしない」、万年「負け組」の伊藤カイジが、さまざまな命がけのゲーム(ギャンブル)に挑みながら成長していく物語。

1作目では原作から「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」の3つの特殊なゲーム(バクチ)で命がけの勝負を挑み、最後には大勝するも遠藤金融にハメられ、またも一文無しになってしまったカイジ。数々の修羅場を踏んで成長したはずなのだが、またも借金まみれになり「地下強制労働」に舞い戻る。しかし、勝負そのものは場慣れしたようで、班長に「地下チンチロリン」で圧勝。地上に舞い戻る権利を獲得する。

しかし、お人好しの面か、正義漢の面か、与えられた「14日間の地上と109万円の現金」を、2億円に増やして(地下の)仲間を助けると意気込むカイジ。そのカイジの前に、前作でカイジに負け「地下強制労働」に処せられたはずの利根川が現れる。利根川は、カイジに「14日間で2億円なら、これしかない」と、闇カジノに誘う。そこには、絶対に勝てないパチンコ台。しかし勝てば10億円以上を得られる巨大パチンコ台「沼」があった。

1作目の”3つのゲーム”で、よくまとまっていたとはいえ、いささか駆け足的だったストーリーに反省したのか、(小さなゲームは登場するが)今回は「沼」1本。

f:id:tsuchinoko118:20111114080934j:image:right:w240しかしながら、原作の福本伸行テイストな「考えろ、裏をかけ」という知能・頭脳戦というよりは、詐欺的な「沼」というマシンに対して、詐欺的な「沼・攻略」で挑む、どちらかというと肉弾戦で、しかも負けたら破産で地下強制労働に戻るだけ、という、ゆるい懲罰で、前作の”限定ジャンケン”程度。鉄骨渡りやEカードのような、まさに、命をかけたような勝負はあまり観られない。もし仮に1作目がR-15なら本作はPG-12程度かも知れない。

また、一応「沼」という原作からのゲーム(とばく)の印用ではあるが、「Eカード」の後、行方不明になっているはずの(原作では二度と出てこない)利根川が、”負け犬”として再登場して、最後までカイジたちと絡んでいくところからも、「原作」というよりは「オリジナル」と理解した方が良いだろう。

カイジには藤原竜也、再登板。落ちぶれた負け犬になりさがった利根川も、香川照之で再登板。本作から登場の坂崎に、生瀬勝久。そして、物語のラストにキーとなる石田のおっさんの娘に、あまりよく知らない若い女優(棒読み)。敵役の一条に、伊勢谷友介。

個人的には、伊勢谷はあまり好きではなかったのだが、悪役をやらせると、こうも光る演技になるとは。驚いた。
リアクションがキアヌリーブス的なところも、あまり好きではなかったのだが、この一条役では、それが逆に活きてくる。よくよく考えれば、劇団くさい藤原の演技に対抗するには、これくらいの違和感ありまくりのリアクションがしっくりくるのかも知れない。

作品が終わったときには、すっかり伊勢谷が好きになってしまった。


f:id:tsuchinoko118:20111114080935j:image:left:w240全体としては、あいかわらずのハリウッド大作テイストで、鳥肌がたつような演出が多い。「〜人生奪回ゲーム〜」というよくわからないサブタイトルも本編では一切登場しないところもミソで、最後まで、全く飽きず、全く興ざめすることもなく、存分に作品の世界観にひたることができる。

やや残念なことは、カイジ語録とも言うべき、甘えた根性にヤキを入れるようなセリフは今回は少ない。明らかにバクチ・トバクなのだが、ゲームとやんわり言ってしまってるところも、なんとも、生ぬるい。命がかかっていないところも、ゆるい。

しかし、もともと、理不尽なバクチ合戦が魅力の福本作品であるわけで、「天」の停電で役満のノリだと思えば、これはこれでアリかなとも思える。

実際、筆者も最後まで席を立つことなく、時には、涙腺がゆるむほど、時には、鳥肌が立ちまくるほど楽しめたのだった。

ぜひさらなる続編もつくってほしい。現在公開中。