★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】バイオハザード

f:id:tsuchinoko118:20100528175841j:image:left:w220国産ゲームソフト「バイオハザード」の実写映画化と言ってはいるものの、単なるゾンビものでサバイバルアクションホラーで、ゲームの世界観とは直接的には関連性がない。多くの「ゲームの映画化」は、ゲームファンが、ゲームへの思い入れが強いせいか、ゲームそのものの映像を求めているようで、評判がすこぶるよろしくない。本作も、ゲームファンにはウケが悪かったようだが、筆者はゲームに全く興味がないので、映画として、新しい風味のゾンビものだとわりと楽しめた。やはりレイト指定がいいのだ(笑)

近未来。というよりほぼ現在。巨大企業アンブレラ社は細菌兵器の開発において「T-ウイルス」を完成させる。ラクーンシティの地下深くハイブに、その「T-ウイルス」の開発研究所があったが、ある日、「T-ウイルス」が空調機を通じ研究所全体に行き渡るという”バイオハザード”が発生、全員が死亡する。ハイブの地上にある洋館で、記憶喪失気味に目覚める主人公アリスと、突如としてどこからともなく現れた特殊部隊を名乗るナゾの面々は、ハイブに潜入、バイオハザードの現場に突入していく。そこには、おびただしい死体と・・・ 「T-ウイルス」に感染し、目覚めたウォーキング・デッド、すなわちゾンビがうようよと・・・ アリスと特殊部隊を襲う。

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多くのゾンビものがそうであるように、本作も、ゾンビが襲ってくる恐怖(+社会風刺)を描いている。モダン・ゾンビの始祖ジョージ・A・ロメロを踏襲していると言える。

ただロメロが社会そのもの=すなわち私たち自身を痛烈に風刺しているのに比べ、本作では、「企業が悪い」だけになっており、主人公アリスや特殊部隊たちが、ある意味「正義漢」のように描かれているのは、ものたりない。

仮に、細菌兵器、戦争が悪で、それに携わる企業が悪だとしても、それはすなわち、企業の暴走だけではなく、仮想敵国に対して恐怖心を抱き、自分たちだけは平穏に暮らし、あわよくば他国の資源、経済を奪い、おいしい目に合い既得権益を増大させたいという願いと裏腹であり、単に企業が悪いわけではない。企業が悪いのなら、私たちもまた悪いのである。
この点が描けていない点で、本作は、ロメロ・ゾンビとは比べものにならない低俗なアクションホラーであると言える。

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しかし、多くのゾンビ作品が、「ゾンビ=怖い」で終始しているのに比べ、本作は「ゾンビを恐れる理由」が明確にされていることについては、筆者は評価が高い。すなわち、ゾンビによる自分自身の人体破壊を露骨に描写することで、暴漢に襲われるごとき恐怖をうまく描いているのだ。
本作に登場するゾンビは、かなり破壊的だ。
本能なのであれば、破壊衝動そのものが人間の本能だと、言わんばかりである。

演じるは、かすれ声で暴れるミラ・ジョボヴィッチ。女性版ヴィン・ディーゼルと思っておけば間違いが無い。主人公のアリスを、すっぽんぽんスレスレの衣装で演じる。このスッポンポンスレスレは、ミラ当人のアイデアだそうだ。最初は、おとなしく可憐な姫で、やや違和感を覚えたのだが、次第に、ミラ・ジョボビッチ全開になっていくので、たいへんおもしろい。しっかりと、ミラの代表作となった。

監督はポール・W・S・アンダーソン。低予算でも、大作のような見栄えの良いポップコーン映画を撮る御仁。このあと、バイオハザードシリーズが、どんどん製作・公開されるが、ほとんどが彼の手のもので、彼のものとなった。

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やはり映画は映画。ゲームそのものであってはいけない。多くのゲームが元ネタの作品があるが、ゲームファンに好評のものは、大変つまらない映画になっていることが多い。ゲームファンが何を言おうが署名を集めようが、映画は映画であってほしい。