★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】ピクセル

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1982年。パックマンギャラガドンキーコングなどの人気アーケード・ゲームの世界大会が開催された。その様子をビデオに撮ったものがNASAの宇宙ロケットに。地球外生命体へのメッセージというわけだ。

それから30年。当時のゲーマー(アーケーダー)4人。ギャラガの世界チャンピオン・ブレナーは家電店の腕利き職人として働き、あやしい陰謀論を唱え何を言ってるのかわからない自称「ワンダーボーイ」ラドローは相変わらず自宅にひきこもり、ドンキーコングでブレナーを打ち負かした自称「ファイアブラスター」のエディは詐欺師として警察に逮捕監禁され、ブレナーの幼なじみのウィルは歴代大統領の中で最もバカな大統領に就任していた。

ある日のこと、米軍基地が「ギャラガ」に襲撃され、次はイギリスだ、と宣戦布告のメッセージが何者かから届く。30年前、宇宙に送られた”世界ゲーム大会”のビデオを見たエイリアンが「果たし状」だと理解し、どんなものでもピクセルに変えてしまう能力で 80年代のゲームのキャラクターを再現、地球侵略を開始したのだった。

圧倒的科学力に、なすすべのない人類は、30年前のゲーマー(アーケーダー)に全てをたくす。人類の存亡を賭けたゲーマー(アーケーダー)とエイリアンの闘いが始まった。f:id:tsuchinoko118:20150922184324p:plain

主演アダム・サンドラーで、製作が(サンドラーの主催する)ハッピー・マディソンなので、監督が誰であろうと、他の出演者がどうであろうと、脚本が何であろうと、思いっきり「くだらない」作品であろうと、期待していたら、予告編や宣伝では「ピコピコ・オタクが地球を救う」とSF大作の香りが。おそらくはレトロゲームに期待していた人もいるのではないかと思うほどに、まともな超大作と思った方も多いだろう。

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アダム・サンドラーとハッピー・マディソンが、そんな真面目なことをするはずはない。本作は、筆者の期待通りの「よくぞ、ここまで金をかけて、こんなくだらないものを作ったな」的コメディ作品である。

あいかわらず会話の端々に、直接ストーリーと関係のない、どうでもいいようなアメリカン・ジョークが散りばめられ、ひどく冗長。筆者などは、ずっと笑いが止まらなかったが、見る人によっては退屈で退屈で仕方がないかも知れないし、ひょっとするとストーリーがまったくわからなかったかも知れない。

そもそも「ピクセル」というタイトルからもわかるように、ごくごく自然でリアルなグラフィックスを追求してきたCG(VFX)の努力を、あざ笑うかのようなドット絵への逆行。80年代当時の、あのドット絵は、ああいうデザインが流行っていたのではなく、ああしか出来なかったテクノロジーの事情であって、あの時代でさえも、8色から16色、256色、320x240 pixcels から 600x480 pixcels へ 1024x728 pixcels と、あくまでも自然でリアルなグラフィックを追求していたのだ。そうした時代の方向性そのものを、いぶかったような作風には、なかなかついていけない人もいるだろう。

f:id:tsuchinoko118:20150922184418p:plain作中の台詞でも、今のゲームには味がなく単調で残虐だと否定的な会話もあり、単に「ゲーム」「オタク」賛美ではないところも、興ざめする=観客を否定するような演出で、筆者は大笑いであった。(かといって、もちろん、懐古主義というわけでもないのだが。)このあたりのセンスは、いかにもアダム・サンドラーで、毎度のことながらアダム・サンドラー作品は観客を選ぶ。賛否両論がうずまき、その極端なこと極端なこと。話しは有って無いようなものではあるが、本作は、そうした「思想」そのものを小馬鹿にもしている。結局、能なし中年も、バカ大統領も、犯罪者も、陰謀論を唱えるひきこもりも、意を決して、具体的に行動に出る。そこには、勇気・愛情・自己犠牲がきちんと語られているのである。

本作は「家族で楽しめ、デートで楽しめる、ファミリーSF超大作」ではない。非常にマニアックな、いつものアダム・サンドラー節なのだ。監督が「グレムリン」「ホーム・アローン」「ハリー・ポッター」「ナイト・ミュージアム」のクリス・コロンバスだからと、騙されてはいけない(笑)

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だいたいパックマンの産みの親「岩谷 徹」氏(演じるのはデニス・アキヤマ)を出して「我が子よ・・・」とパックマンに近づき、腕を食われたから「こいつをブチ殺せ!」と、逃げていく・・・なんて演出(脚本)普通じゃ出来ませんよ。

筆者的には大満足。お腹いっぱい。

・・・ということは、やはり、とてもじゃないけどオススメしない映画なんですよね。


映画「ピクセル」予告編 - YouTube