★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【PC】おそるべき求人サイト「就職最前線」とは?

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先頃公開・運用が開始された「就職最前線 powered by LifeLine」は、北陸発(初かも?)のソーシャル・リクルーティング・サイト。求人情報を提供するいわゆる新参の「求人サイト」である。

一般的によく見かける「求人サイト」と異なり、FacebookTwitter、そして、はてなブログ、LINEなどと連携する”SNS徹底活用”型のマッチング・サイトだ。

開発は弊社株式会社エヌジェイシー。運営は弊社の徒歩10分にある人材ソリューションビジネスの専門家・株式会社ライフライン。石川県の雇用対策事業「いしかわ若者就職バックアッププログラム」を継続的に委託されている信頼性の高い企業である。

 

「採用コストの価格破壊」をうたっており、月額1万円を切る、にわかには信じ難い費用を打ち出していたり、SNSで人材採用と、よく理解できないシステムを提唱しているが、問い合わせが次々と寄せられているようだ。これといった本格的な販促も、まだ行われていないのに、注目度が非常に高く「おそるべき求人サイト」とも呼ばれていたりもする。

 

ではいったい何がどう「おそるべき求人サイト」なのだろうか。

今回は、その風変わりなシステムの面から解説してみたい。

 

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一般的な求人サイトのモデルは図のようなモデルが多い。SEOGoogleやYahooなどの検索エンジン最適化)

により「会員を募る」。

興味があったりサイトの機能を利用するには「会員登録」をする。

求職者会員・求人企業会員がコミュニケーションしたり、

サイトに掲載されている機能を使って、求人にエントリー。求人サイトに限らず、従来のマッチングサイトは、ほぼ全てこのパターンである。

このパターンのメリットは、会員を「サイト」で完全に囲い込むことにより強固な”利用者層”が形成され、はたまた会員の個人情報から動向まで全てを把握することも可能で、サイト運営者にとって非常に優位な状態となる。運営者本意といってもいいだろう。この点、いかにも、IT、いかにもクラウドなモデルである。

反面デメリットとして、競合するサイトも多数ある中、その知名度を高めるには莫大な広告費が必要で、またインターネットサービスが多種多様存在する中、自サイトの優位性や利便性を打ち出すには、「サイト」そのものを機能アップし、と、運営コストが膨大になりやすい。高コスト体質とも言える。

また、サイトの活性化の手法が「結局メルマガくらいしかない」のもデメリットの一つだ。以前なら、こうしたサイトは、ほぼPCでの閲覧に限られていたが、ここ数年で、PCよりもむしろスマホタブレットでの利用が多い。(これに対応するのも高コスト体質の一因となるが、それはさておき)昨今の「スパム」「個人情報漏洩」「フィッシング詐欺」などの問題もあって、ほとんどの通信キャリア、ほとんどのメールクライアントソフトで、”迷惑メール”の対策が強化されている。これは、自社の発行するメールが、必ずしも会員に届かないということである。

必ずしも・・・とは書いたが、大量のメルマガにうんざりするユーザーは「自身が読む気のないメールは、すぐにゴミ箱へポイ。すぐに迷惑メール扱い」と、全く読んでもらえないことも多くなっている。

古来、情報は発信した側が優位(テレビのように)だったが、今は、明らかに情報は受け取る側が優位なのだ。この傾向は、ここ数年のうちに顕著になっている。ますますサイトの運営は高コスト化を余儀なくされ、強引にエントリーさせようとしたり、社会問題化するケースもめずらしくなくなってしまっている。

ではどうやって、会員に有用な情報を発信するのか。

求人情報が雑誌の取材ライクにライター、デザイナーによる「静的ページ」なのも高コストである要因ともなっているようだ。 

 

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そこで登場するのが、SNS連携型のモデル。

「就職最前線 powered by LifeLine」が採用したモデルで、図のように、サイト本体には大した機能はない。コンパクトでありシンプルだ。

ただ昨今話題のSNSとの連携機能が極端に高機能化されている。

SEOではなく(もちろんSEOも行うが)、SNSのシェア・リツイート・フォローを活用することで、検索して見つけるわけではないけれども情報が自然に拡散していく仕組みになっている。SNSサービスに、コバンザメのようにくっつくモデルとも言えるかも知れない。読まれないメルマガよりも「いいね」「リツイート」「シェア」による情報拡散。検索エンジンよりも、紹介。

ハンドメイドでも出来る情報拡散モデルを、やりやすいように、使いやすいようにしているのが、このモデルの特徴だ。

立ち位置が、まとめサイト NAVERまとめ、や転載サイトにも似ているかも知れない。

求人情報を作成する専門のライターもデザイナーも基本的にはいない。

FacebookTwitter に投稿するスキルで、会員自身が記事を作成する簡易CMS機能を搭載している。サイトは、これら会員の投稿した「生の記事」をそのまま羅列しているだけとも言える。同時に SNS への拡散を試みる。このあたりはほとんど全自動だ。

サイト自身が高機能化しなくても、SNSサービスがユーザーの興味をそそる新サービスを次々と展開してくれるので、あえてサイトに活性化のための新機能や新情報を搭載する必要もなく、コンパクト・シンプルなままであることが出来る点も特徴であろう。明確な管理者がいないのも特徴かも知れない。

 ともかく全体としては高機能であるわりには運営コストが少なくて済むので「月額1万円を切る」ようなことも可能になるわけである。

 

ちょうど汎用コンピューターの時代、メインフレームがあり”端末”があり、ある意味中央集権的なシステムだったコンピューターが、インターネットの登場を機に各それぞれが分散して動作する現在のコンピューターになったようなイノベーションと似ているかも知れない。

メインフレーム型の汎用機では、ことあるごとに汎用機自身のカスタマイズにメンテナンスが必要で、機敏性がなく高コスト体質だった。

分散型では、各個が独自に進化していくため、その進化の速度も速く、あっという間に新しくなっていく。まさしく現在のコンピューター事情だ。

 

そして結果として社会が求めるシステムは前者ではなく後者であることも特筆すべき現実であろう。求人サイトにおける「SNS連携型」も同様である。

「就職最前線」は、マッチングサイトのイノベーションなのかも知れない。

 

今回はシステム的な面から「就職最前線」を解説したが、次回は、もうひとつの突飛な求人手法 ソーシャル・リクルーティングについて解説する。