★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【仕事】ランチェスターの法則と一点集中

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昭和の時代には「ラーメン専門店」よりも、いわゆる「大衆食堂」で”中華そば”を食べることが多かった。「ラーメン専門店」は探しても、なかなか存在せず、あえて専門店と言えるものは「屋台のラーメン屋」であった。

昼間に屋台のラーメンを見ることは少なく、夜になるとラーメンの屋台が登場する。「ラーメンちょうだい」と頼むと、ラーメンが出てくる。塩もミソもコッテリもアッサリもない。「ラーメン」だ。ラーメンのみで勝負をして、ラーメンのみで売上を稼ぐ。

商売(ビジネス)として考えた場合、明らかに品数が豊富にあり、席数も多い「大衆食堂」の方が有利だ。大衆食堂はランチェスターでいう「強者」だ。

比べてラーメン屋台は弱者ということになる。

しかし、昭和が終わり平成になり、今現在を見てみると「大衆食堂に中華そばを食べにいく」ということと「ラーメン屋にラーメンを食べに行く」ということを比較すると、特例はあれど、ほとんどが「ラーメン屋にラーメン」だ。

そして新型の大衆食堂はあれど昭和の時代に見かけた大衆食堂の大半は「専門店」に駆逐され、誰がどう見ても「大衆食堂で中華そば」ではなく「ラーメン屋でラーメン」の時代になった。なぜ「大衆食堂」が負けてしまったのだろうか。あきらかに強者なのに。

経営者が高齢だから。都市の再開発で。ファミレスの台頭で。

そうした動機もあろうが、それはラーメン屋も同じ事だ。

多くが屋台で、衛生の問題などから立ち退きを余儀なくされ「大衆食堂」が受けるダメージ以上に小さな屋台は大きなダメージを受けているはずだ。

勘のよい方は、お気づきと思う。「大衆食堂」は経営資源を広く使っている。巨大な資本があればいいのかも知れないが、限りある資源を「みそ汁」「魚」「肉」・・・いくつもの商材を用意するために、多額の仕入れをして、席数を確保するために広い土地を使い、と、なんにしてもずいぶんと資源を必要とする。

比べてラーメン屋は、屋台・ラーメン(あるいは小さなカウンターだけの店とラーメン。餃子もない。焼きめしもない)と、非常にコンパクトだ。

「大衆食堂」に比べ「ラーメン屋」は、もののみごとに弱者の戦略。一点集中になっている。このことは、資源の効率的な使い方が行いやすいということであり、たとえば台風で店を開けても閑古鳥な場合にも、損失が少ないということでもある。

 

さて筆者の会社は「明日をも知れぬ吹けばとぶよな小さな小さなソフト開発会社」という”みすぼらしい(笑)”キャッチコピーを携えて、日々、こつこつと、さまざまなソフトウェアを開発している。気分は、いつも「ラーメン屋台」だ。

小さな市場の小さな規模に合うソフトウェアを、ちまちま丁寧に作っている。

もし、あれもこれも、あちらも儲かる、こちらも儲かると、手を広げたりしていたら、東京支店をつくり、販売代理店を募り、あの製品もこの製品も、というようなことをしていたら、おそらくもうすでに弊社は存在できなくなってしまっていただろう。

 

少しでも可能性があるのなら(可能性がゼロではないのなら)、ちょっとでも儲かるのだから、と、手を広げて大失敗をするのは、よくある話だ。そこには、すでにシェアをとっている強者が制空権を握っており、資本・資源の体力差も歴然としていることが多いということを忘れてはいけない。堅実に。コツコツと。

弱者は見栄をはってはいけない(笑)

 

ところで、ランチェスターの法則と銘打って、さまざまなコンサルタントが「地域No1」なんでもいいから「No1」をうたえば・・・・と、まことしやかな事をほのめかしているようだ。残念ながら、それは、コツコツ堅実の結果論(弱者の戦略)をはき違えているので注意が必要だ。

うたえばいいのではない。身の丈にあったことを、という意味なのであって、決して宣伝文句だけの話ではない。

周囲を見渡せば「地域一番店」がどれほど潰れて消えていったことだろうか。そして、その「地域一番店」がなぜ潰れてしまったのだろうか。すぐ近くに、大手が資本にモノを言わせて制空権を握ろうとしているときに、真正面から対抗すべく、その大手の物まねをして手を広げたりしてないだろうか。

 

その時、自らが最も得意で大好きなことに一点集中していれば良かったのではないだろうか。

 

強者・弱者という言葉がランチェスターでは語られる。

しかし弱者は「みすぼらしい弱々しい」という意味ではなく、自分の大好きなこと、得意なことに磨きをかけることが出来る立場でもある。

面白いじゃないですか?(笑)

 

標題の本には、筆者もうなづける事が書いてある、めずらしい良書。

ふる~い本なので、今だと労基に違反してるんじゃないの?ってなことも書いてありますが(笑)

 

・弱者は、自分の仕事に情熱を持ち熱意に満ちて行動すべし

・弱者は、全体発想を避けて要点を細分化し攻撃目標を明確にすべし

・弱者は、一人でも多くのお客様を作るため総力の7割を投入すべし

・弱者は、長時間労働に徹し必勝の12時間圧勝の14時間を投入すべし

・弱者は、休日の三割を戦略計画と社員研修に投入すべし

・弱者は、安易に人の力に頼らず独自路線を開発すべし

・弱者は、間接戦を避けてお客様を特定化し最終利用者に接近すべし

・弱者は、一日30分のお客様時間を作り、得意先の発展と利用者の幸せを祈り、

     感謝を態度で示すべし

 

筆者的には、大きな資本で全体を動かすようなのより、こっちの方が断然面白くと思ってしまったりします(笑)

 

でで。一点集中するには、当然何かを捨てなくちゃいけない。あれもこれもは一点集中とは相反することに・・・さて何をスッパリ切り捨てようか。