【仕事】ランチェスターの法則と楽しい”どぶ板営業”
ランチェスターでいうところの弱者戦略は、顧客と密接に直接的にスキンシップと、結構泥臭い販売戦略を行うところに勝機があるとされます。最近では、あまり聞きませんが昔は「どぶ板営業」と呼ばれ(この、どぶ板が何を意味するのかは、あまりよくわからないのですが、昔どこにでもあったドブの板をはがすのか、歩き回るのか、いずれにしてもそんな意味です)、エリアを足を棒のようにして歩き回り訪問する営業活動・販促活動のことです。
最近では、時代はソーシャルだとか、ネットを使えばカンタンだ、電話アポで十分だ、と「どぶ板営業」を否定する向きがありますが、ソーシャルもネットも電話も「道具」であって(あえて、ITと言いましょうか)活動そのものを意味するものではありません。
ソーシャルであっても、ネットであっても、電話であっても、そして営業マン自身が足で歩いても「どぶ板」は「どぶ板」。ここを間違えると、売れる・売れない以前に反応もありません。
さて、この「どぶ板」。嫌がる人が多いです。とくに最近は。
面倒くさい。疲れる。かっこ悪い。
3K・4Kのイメージもあるのでしょうか。それとも、楽をして甘えてお金(成果や報酬)だけ欲しい。しかも短時間の間に。それは仕事ではなく、バクチじゃないんでしょうか(笑)
しかし、この面倒な「どぶ板」。実はとても大事なことだと筆者は考えています。
ものすごいアバウトな図ですが、左側が昔の営業パターン。右が今の営業パターン。
お客様の心理とも言えるかも知れません。モノがなく、サービスも少なかった時代、とにかく作れば売れるような時代には「モノ」そのものが主役。
お客様は「モノ」や「サービス」を見て、必要か必要でないかを考えます。
そこに"欲しい”は、あまりなかったのかも知れません。
ある日突然、おうかがいし、ろくろく聞いてないヒアリングをして、その後、すばらしいプレゼンに、押し売りと見まがうような強引なクロージング。それで売れていました。(今改めて考えると、こんな営業でも売れてたんだなーと、ひどいものです)
今、もうモノがあふれ直接的に生活に困るとか、そういうものがない時代。
そこではもう「モノ」や「サービス」があっても、作っただけでは売れません。
図では”信頼”が大きくウェイトを占めていますが、これは”ブランド”という意味ではありません。ましてや弱者ですから、会社の名前や商品名などのイメージをいかに作り上げても、お客様にとっては、ほとんど意味がありません。
丁寧にヒヤリング。課題なり問題なりを解決してくれそうだ、この人なら安心だ。
そういう「信頼」があって、はじめて購買意欲がわいてくるのが昨今です。
営業は「モノ」を売るんじゃなくて、人を売るんだよ
ってな言葉もよく聞きますが、その人・その会社、そうしたところに対する信頼が大事になっているわけです。
「いや自分はそうは思わない」
そう思わない=お客様の信頼や安心が大切だと思わない。思わなくても、お客様は「モノ」は見ていないのですから、そういう人を売って、はてさて、誰が買ってくれるのでしょうか。
多くの人が、どんなものが売れるか、考えています。
でも、どんな人であるべきか、どんな会社が求められているのかを、まず第一に考えている人は、意外に少ないように思います。弊社にも営業電話がしこたま、かかってきますが、みなさま「もの」「プレゼン」「しつこいくらいの契約ください」ばかり。
では、どんな人、どんな会社が売れるんでしょう。
それは自分のエリア(テリトリー)のお客様が教えてくれます。
買って下さい!では買わないのに、教えてください!だと教えてくれますよ。
事務所に閉じこもっていても、誰も教えてくれませんし、自分の頭で考えても天から声が聞こえて教えてくれるわけでもありません。
でも、せっせ、せっせと、どぶ板すると・・・
そんなわけで筆者は、飛び回ってお話ししに行くことにしています。
おかげさまで?超多忙な日々ですので、最近は、なかなか、じっくりと外回りでお話しをする機会が減りました。でも展示会に出展し、懇親会に参加し、ソーシャル・メディアを使い、ネットはいつでも接続状態で、自分のエリア=全国、さまざまなお話しをいつでも聞くようにしています。
そして、お客様が「塩ラーメンがほしい!」とおっしゃるので、塩ラーメンをつくって「いかがですか」とご案内。そうすると、見せつけるプレゼンも、長ったらしい押し売りクロージングなど不要で、先方様からお買い求め下さるのです。
面倒くさくないし、疲れないし、楽しいですね。実は、どぶ板営業の方が、かっこいいのかも知れませんね。そして、そのコツコツした泥臭い地味な活動の積み上げが「信頼」につながり「ブランド」になっていくと筆者は思っています。