【仕事】ランチェスターの法則と差別化
「二番煎じは失敗する」という話があります。誰かがうまくいくと「これは必ずうまくいく」とばかりに、物まねでやってみるけれども惨敗する。
他人(あるいは他社)が、うまくいってるものを、そのままパクれば、なるほど「考えなくてもいいし、苦労も少ないかも知れないし、なによりも結果として成功を保証されたようなものだ」と思っても不思議ではないし、間違いでもありません。
しかし後発では(なにしろ市場を既に占有されていますので)資本、ノウハウ、何もかもが足りません。そして既に市場を占有している人・企業が、何もせずに指をくわえて見てくれていればいいのですが、絶対にそうしてくれません(笑)
筆者が活動するITの世界では、著作権・特許権・商標権などの知的財産で訴訟があったりもしますし、逆に「似たもの、ほぼ同じもの」を用意して、つぶしにかかってくるのが常です。それでボロンチョに負けるのも常です(笑)
そこでランチェスターの第二法則(弱者の戦略)が役立ちます。
差別化。つまるところ、ほかにないもの、他社とは異なるもののことです。
商品・製品そのもの以外の、販促方法なども差別化。徹底した、どれもこれも差別化します。これはなにも「今までになかった、まったく新しいもの」を用意するという意味には限定されません。
とくに筆者が大好きなのが「すきま(ニッチ)」です。
例えば筆者の開発したものに「美容院向けソフト」がありますが、開発当時、世の中にはすでに、そうしたものがありました。
まったく同じものを作ることに意味はない。それなら既にある製品を購入すればいい。なにも自分が作る必要はない。そこで、ちょっと調べてみますと、非常に高額で「リース(月額制)」のものが大半でした。安いものでも1万円/月。高額のものでは3万円/月。これでは、小さなお店では、月額負担でも大変です。
また既存のパソコンは使わず専用のPOSマシン(専用機)という形態での販売が多く、パソコンで出来るのに、わざわざ隠して(あまりよろしくない意味での)”高付加価値”・”ブランド化”にご熱心な製品だったので、非常に「不正直だ」と義憤の念にかられたものです(笑)
それで「買えないなぁ」「欲しいんだけど高いから」という美容師さん、理容師さんの生の声を聞いたこともあり一念発起。
「あ。すきま(ニッチ)がある」
そんな風に思ったことを覚えています。
つまるところ、強者が入ってこない場所、強者が置き去りにしている場所、そのための製品が「すきま(ニッチ)」で、差別化だという意味です。
差別化は、別の何か、あるいは、すでにあるものに手を加えて新規性を出したもの、という「全く新しい何か」ではなく、ドブイタ的かも知れませんが、今それでカバーされていない市場、という意味でもあります。
美容院向けソフトの場合は、それが購入できるのは、月額3万円が経営を圧迫することを理解できていない(疎い)新規開店のお店か、何店舗ももっている中堅~大手のサロン、あるいはブランド信仰で安心感を買うサロンで、大多数を占める小規模なお店は、紙と手、あるいはEXCEL・ハガキ印刷ソフトの住所録+備考欄でという現状。
新規開店の時に購入したけれども、(5年ほど経過し)買い換えを勧められても、買い換える気がない、買いかえることができない、と、壊れかけのシステムを騙し騙し使っている方もいる現状。
そういったところに対する製品は存在しないので「スキマ(ニッチ市場)がある」ということだったりもします。
筆者は30年近くIT業界に居座っていますが、とくにITに関しては、スキマだらけだと痛感したりもしています。
そして、もし「よそがあれだけ売れているのだから、うちも同じ事を、同じ価格帯または少し値下げをして・・・」と考えていたら、大失敗していたことでしょう。
実際、ある程度の人気が出てきたころ、こんなことを言って”コンサルティングしますよ。もっと売れますよ。私が教えてあげましょう。”と寄ってきた人も多くいました。(みな、すぐに馬脚を現しますので、追い払いましたが(笑))
派手さもなく地味で泥臭いのかも知れませんが、筆者は「ニッチ」大好きです。面白いから(笑)なにか新規事業を、と考えたとき、最初に何をするのかというと「ニッチ(すきま)探し」です。これが楽しいこと、この上ありません。
「あ。スキマ(ニッチ)見つけた」
このおもしろさは、弱者でいてこそのものだと思ったりもしています(笑)
冒頭の「二番煎じは失敗する」。実はランチェスターで言うところの第一法則、つまり強者の戦略を、弱者が見栄を張って、あるいは、焦って、はたまた、自己を大きく見せようとして、自分の本来の良さ、立ち位置を見失って付和雷同した結果・・・それはボロンチョンに負けますよね!