読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】アウトレイジ

あんまりオススメしない映画

f:id:tsuchinoko118:20140917074538j:plain

戦場のメリークリスマスに、素人同然のお笑い芸人が半ば主役級で抜擢されたのは1983年。ビートたけしである。その6年後「その男凶暴につき」で映画監督デビューを果たしてから、世界的にその作品性が賞賛され、いまや北野武監督としての方が著名だったりもする。おそらく、くだらないブラックジョークで場を賑やかにする、あくまでもお笑い芸人の位置づけをして、どこかさげすんだような見方をしているのは日本だけかも知れない。(このあたりは、当人の「漫才師が映画を撮ったみたいな雰囲気があって」という言葉にもにじみ出ている)そんな北野武監督作品の特徴はキタノブルーなど、いろいろとあるけれども、やはり「暴力」。

年中殺し方を考えているのではないかと思うほどに、さまざまな暴力、とくに瞬殺、秒殺、ストレートな手加減しない暴力描写が登場するものが非常に多い。

本作「アウトレイジ」は、その暴力描写の集大成かと言わんばかりの作風で、あまりの暴力・拷問シーンの多さにR15+指定を受けている。

関東一円を仕切る巨大暴力団「山王会」を舞台に、裏切り、抗争、頭脳戦と暴力を絡めた、ほとんど男性ばかりの作品で、北野武も主人公かも知れない大友というヤクザを演じている。

キャッチコピーは「全員悪人」。なるほどヤクザの抗争を描いて、なぜか情欲の部分だけはないもんだから、とにかく出てくる人物出てくる人物、みな悪党。

刑事も悪党だったりするので、この徹底した単一志向が、いかにも映画であり、いかにも北野武監督であったりする。(ように筆者は思う)

出演する大半は、日本の俳優で、いわゆる大御所が多く豪華なのも特徴。誰も彼もが名演のヤクザなので、ストーリーや暴力描写もさることながら、はじめから最後まで食い入るように見入ってしまう非常に魅力的な作品でもある。

いわゆる”演技合戦”が見もの。

映画はこうでなくちゃ。

f:id:tsuchinoko118:20140917074607j:plain

しかし中に唯一、こうした場にそぐわないのではないかという人物「石原」がいる。演じるは加瀬亮。小さなヤクザの組である大友組の金庫番で、インテリヤクザという役どころ。ヤクザ映画といえば、男、男、男。かっこいいと、映画だから賞賛されるアウトロー、無骨で律儀な男像を描くものが多いが、このインテリヤクザ石原が出てくることで、かっこ悪くこすずるい、汚らしいことをおのれの欲だけのために平然として正当化する、ヤクザ・暴力団のリアルさが出ていると、筆者などは手放しで絶賛したりする。

同じストーリーであっても、この石原がいなければ、男の勝負に勝ったとか、どこか賛美されるような描写に陥りがちなところを、石原がいるおかげで、男の勝負も、うさんくさく、許しがたい小汚さを醸し出しているように思ったりする。

「男の世界」ではなく「全員悪人」

”暴力”を描きまくっている北野武監督の良心を垣間見る思いだ。

暴力団・ヤクザなど、決して格好の良いものではない、暴力など決して正当化されるものではない、反暴力的な映画とも言えるかも知れない。

よくよく見ると、真っ正面の暴力でやりあっているのではなく、騙す・脅す・裏切るなど、非常に小汚い戦いが多く(笑)見る人が見れば、夢もなにもない最悪の映像作品なのかも知れない。その証拠に(?)カンヌにも出品されたが、ものすごい酷評でブーイングと退席者も出たようだ。ある意味、そういった権威への北野武監督らしい反抗心も作品に表れているのかも知れない。反面興行的にはヒット。

f:id:tsuchinoko118:20140917074637j:plain

音楽でいえば、教会音楽に反発するモーツァルトのオペラだったり、クラシックの高尚さに反発するロックやジャズかも知れない。

筆者的には、その演技合戦のゆえに、気がつくとオールタイムな一本になっている。

そして、非常にわかりやすく面白い。

筆者的には、そんな感想を抱いている。

 

そして、北野監督初の”パート2”、アウトレイジ・ビヨンドに続くのであった。


北野武最新作/アウトレイジ予告編 - YouTube