【あいほん】 あっぷるWatch
つい先日、いつもの通り Apple の新製品が発表された。”携帯する”というデバイスも、ついに頭打ちというか、ネタ切れというか、今後は”身につける”デバイスということで 噂されていた あっぷるWatch が発表された。まだ色々と課題があるようで発売は来年ですよという告示だけなので「参考出品」のようではある。
筆者的には、もともと興味がなかった(笑)こともあるが、一目見て「ダサ・・・」と思ってしまったことは、無思慮なアップルシンパ諸氏や、アップルだからとありがたがるブランド教信者諸氏には内緒だが「ダサ・・・」と思った方も多いのではないだろうか。
こうした”身につけるデバイス”は、新しそうに言っているが、実のところ大昔一時的に流行し、もう古いものとなっていることは、ある世代以上の年齢の方はよくご存じだ。
「CASIOのデータバンク」と言えば知ってる人は知っている。忘れていた人も思い出す。腕時計がデジタル化され、世界時計が積まれたと思ったら、電話帳が積まれ、気がつくと 「CASIO の電子手帳」と連携できるようになりと、ものものしいほどの高機能になり、そういうのが”格好よかった”一時代があったのだった。
そして時代は、そういうのは忘れ去られ、再び「オシャレ」さや「スポーツ」に進んでいく。そして同じくCASIO の G-SHOCK が登場し一世を風靡。
今回のあっぷるWatch の発想・コンセプトは、まさに CASIO のそれとほとんど同じで、いいか悪いかは別としても、時代の逆行、あるいは、再生といった印象をもった方も多いのではないだろうか。
まさに 80年代にテクノ、ユーロビートが流行し、忘れ去られ、過剰なまでに拒絶さえされ、そしてまた最近になって・・・という流れと似ている。若い人は知らないから夢中になるというところまで似ている。
スマートフォンは、パソコン(マイコン)から電子手帳、PDAという一方向の流れの行き着く先で完成形ではあった。その点で「進化」と言っても良かったが、あっぷるWatch に関しては、数十年前の CASIO の物まねであって、とりたてて新しいことはなく進化ではない。さらに、時代を黙殺したかのようなデザイン(笑)あるいは他社製品に迎合したかのような、そのまんまの腕時計。
これでは Appleブランド(企業イメージ)もあって「ダサ・・・」と言われても仕方がないかも知れない。せっかく Appleなのだから、もっとトンガった、ありえないような未来的デザインでもよかったのではないか。そのように筆者などは思ってしまうのだ。(この点では Googleグラスの方が、笑えるほどにトンがっている(笑))
もちろん、往年の CASIO データバンクの時代と異なり、インターネットが普及していて、取り扱える情報量・情報の質には歴然とした差はある。各種センサーをとりつけてスポーツウォッチとしての位置づけを狙っている点も、新しいのかも知れないが、「ガラパゴス携帯・電話は電話」だった世界に「PDAの完成形として登場したスマートな電話」「インターネットの根本原則を拡大解釈しつくしたような iTunes」に匹敵するようなIT的進化があるのかと問われると、とくにない(笑)
実際、あっぷるWatch のサイトにも、見事なまでの美辞麗句・形容詞が並び、例のごとく美しい写真(画像)があれど「ここが素晴らしい。ここが新しい。ここがスゴイ」といういわゆるアップルらしいものはとくにない。
Android の腕時計なんかも数年前に出ているが、話題にのぼることも、ほとんどない。
アップルという著名メーカーだから話題になっているだけ。
・・・と筆者はかなり否定的だ。
せめて、電池が1ヶ月持つとか、太陽光で充電できるので、電池のことは考えなくてよい。そこまではやっていただかないと(笑)
Apple社製品は、いつも、スペック的には二年ほど古い。そこを Appleらしいトンがった未来志向のアーキテクチャと、よく考えられたインダストリアルデザインで評価されてきたわけなので、もうちょっと頑張ってほしかったものだ。初期コンセプトのように曲がる有機LEDまでは最低行うとか。