【映画】猫侍
江戸の長屋に「百人斬り」の浪人が流れ着いた。
その男の名は斑目久太郎(まだらめきゅうたろう)。元加賀藩の剣術指南役で訳あってお役御免。新しい仕官先を探すため加賀から江戸へやってきた”就活生”である。
しかし世は太平。なかなか就職先が見つからない。そんなとき、犬をこよなく愛する米沢一家の若衆が、長年、敵対している猫をこよなく愛する相沢一家の「玉之丞(たまのじょう)」という白猫を斬ってくれと頼んで来た。
金に困っている貧乏浪人斑目久太郎は依頼を受けたが、なぜか「玉之丞」を斬ることができずに自宅の長屋で飼うことに。もちろん米沢一家には内緒だ。
愛猫がいなくなったと大騒ぎの相沢一家。
猫を殺してやったと大喜びの米沢一家。
二つの一家の騒動と、飼ったことがない猫の飼い方で悩む久太郎、そして今は浪人の剣豪島崎新右衛門と、父のカタキ打ちを探すダメ剣士前場新助を巻き込みながらの大騒動。
はてさて。
テレビシリーズ「猫侍」の劇場版で、”ネコが出てくる時代劇コメディ”である。
テレビシリーズとは全く別のストーリーでオリジナル作品となっているが、いくつかのシーンは使い回しているようで、主人公のはずの「玉之丞」の愛くるしい姿が存分に楽しめる。
テレビ版では30分番組でオチがつく、どちらかというと4コママンガ的な「ネコ」と「お笑い」の作品であったが、劇場版は2時間で1話、コメディの体裁をしつつも、なぜか「玉之丞」の出演時間は短く、取り巻きの人間ドラマが主軸におかれていたりする。このあたりは、賛否分かれるところであろう。
時事なのかも知れないが、犬好きだ、猫好きだ、一家だと同じ人間同士が、思想や仲間、ダンケツ、絆でがんじがらめになってしまい、ただ憎しみ合い殺し合う姿を揶揄しているようにも見える、けっこうマジメな仕上がりで、時代劇らしく涙をさそうオチも用意されていたりする。
特筆すべきは、その殺陣。コメディだ、ネコが主人公だとナメていてはいけない(笑)斑目 vs 新崎の”チャンバラ”は、ものすごい迫力でド肝を抜かれる。すごい。
主演はアナゴ・・・(あ、これはネコの名前)。
斑目久太郎を演じるのは北村一輝。ずっと怖い顔をしつつ寡黙なのだけども、心の中では饒舌、というおもしろおかしいキャラは、おそらく北村の真骨頂であろう。
代表作と呼ばれることになるかも知れぬと、筆者はほくそ笑んでいたりするのだった。
劇場に足を運んだ際には、大入りで(初日だったかも知れない)映画のパンフは売り切れ(ネコの写真集みたいなパンフだったからかも知れない)で、ぴあだったか何かで初登場1位だったような記録もあったりする本作。
筆者も、笑いながら見ていたのだが、この日は運悪く、上映開始から終了まで携帯電話が鳴りっぱなし。ほとんど見ることができなかった。筆者は個人的には、携帯電話は相手の都合も何も考えない身勝手な電話になるのが必至なので、大嫌いだったりする(笑)
BDが発売されたので、即日購入。何度も見返して、やっぱりおもしろいと。満足な一品。必見。