★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】リアル・スティール

ターミネーターもそうだったし、アイロボットなんかもそうだったし、トランスフォーマー3部作あたりから、人型ロボットのCGが銀幕を踊るのが、ごくあたりまえになってきた。ほとんどのロボットもので、敵・味方=ロボット・人間で、産業革命のサボタージュを想像させる作品がほとんどだったが、ここに来て、ロボットが戦うのだけど脇役で人間ドラマを描く作品が登場した。
それがリアル・スティール。

ボクサーの殴り合いでは満足しなくたった観客。そこに登場したもっと暴力的で破壊的なロボットボクシングは、元ボクサーであるチャーリー(ヒュー・ジャックマン)の職を奪い、自信や勇気も奪ってしまった。チャーリーは今、ポンコツロボットのプロモーター。来る日も来る日もポンコツ・ロボットで掛けボクシングに出場し食いつなぐ毎日だった。
そこに突如として、妻の訃報が届く。息子のマックスの親権問題に絡み、亡き妻の姉が裁判沙汰にしてしまうが、マックスが産まれる前に逃げ出したチャーリー。マックスに愛着がほとんどない。それより金が欲しい。裕福な姉夫妻が3ヶ月の旅行に行けるようにと、子どもを3ヶ月預かるから10万ドルよこせ、そうしたら親権は譲ると申し出る。
姉夫妻は旅行に出かけ、マックスがやってくる。
ゲーム好きで、大のロボット・ボクシング好きのマックスと、ついさきほどもボクシングに負けてロボットを失ったチャーリーは夜のロボット墓場で、土に埋もれたスパーリング用の「アトム」を見つける。

修理されたアトムは、マックス主導でさっそく掛けボクシングに出場。苦戦しつつもチャーリーの的確なアドバイスで勝利を収める。シャドウ機能でマックスと共にダンスをするアトム。元ボクサーのチャーリーからシャドウ機能でボクシングを教え込まれるアトム。
一躍人気者になり、そして連戦連勝を続ける。

ついには公式戦への出場を果たすアトムだったが、そのとき、チャーリーが昔、金を借りてトンズラしたのを追いかけてきた借金取りに半殺しの目に合わされ、すべての金を奪われる。ふと思いだし、息子を危険な目に合わせられないと判断したチャーリーは、姉夫婦にマックスを返すことにした。

また逃げるのか、最後まで戦わないのか。
葛藤のなか、チャーリーは、マックスとアトムと共に、公式戦で王者ゼウスと戦うことを決心する。


と「別れた妻」「離れて暮らした息子」「怖じ気づいて逃げる父親」から「勇気をもって共に戦う」サクセスストーリーが主軸になっており、作中頻繁に出てくるロボット同志のボクシング試合(バトルシーン)はあくまで脇役といったつくりになっている。
ロボットがCGで違和感なく動く現代において、作り得る作品であり、それでいて、ロボットの派手さを主役に据えない良心的な人間ドラマだ。

個人的にヒュー・ジャックマンが大好物で、ロボでも宇宙船でも血でもCGが大好物なので最初から最後まで楽しめた。ここしばらく見ていなかったハッピーエンドにも好感が持てる。

タイトルの「リアル・スティール」は、ロボットボクシングの公式戦の名称から。

日本語では公開時期のこともあって「絆」というニュアンスがやたらめったら宣伝に使われていたが、本作には、あたかも最初からある権利としての「絆」などない。なんのつながりもなかったものが絆で結ばれたわけでもない。勇気。最後まであきらめない。その継続が結果として、壊れていた関係を結びつけ、なによりも自信を取り戻すというドラマであったりする。

それはつまり自己犠牲ということでもある。

必見。