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★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】悪霊喰

あんまりオススメしない映画

ものすごくオカルトホラーなタイトルだが、キリスト教(カトリック)の告解の世界観の中でのダークヒーローを描いている。オカルトホラーとも言えるが、バットマンのようなダークヒーローものとして捉えた方がよい。ただ、その「ビギニング」に当たるので、わけがわからない人にはさっぱりわけがわからないだろう。

主演は今は亡きヒースレジャー。主人公で(元)カトリックの司祭アレックスを演じる。
カトリックでは教会の権威が大きく、聖職者だけに認められた7つの秘蹟というものがある。そのうちの1つが本作で描かれる「罪の赦し」で、これから死ぬ人間に「赦し」を与え天国へ導くというもので、プロテスタントのように万人祭司ではないので、司祭にしかそれは出来ないというルールがある。
(ルールといっていいのかわからないが。)

アレックスはそうした秘蹟を行うことが許された聖職者、司祭であった。しかし、アレックスの所属する教派は教会の中では異端とされ、彼の恩師にあたるドミニクは教会を破門された。そのドミニクが「自殺」したと知りアレックスはローマへ飛ぶ。
キリスト教では自殺は大罪とされ、ましてや破門された身であるドミニクは天国には召されない(こうしたことは神の権威であるが、教会の権威となっているのがカトリック)
ドミニクは確かに死んでいたが、胸に2つの不思議な傷跡があった。自殺とはとても信じられず、また謎の傷跡は何らかの儀式を行ったに違いないとアレックスは独自に調査をはじめる。

そこで知ったのは「罪喰い(シン・イーター)」というものの存在だ。
神の権威であり教会の権威である罪の赦しを、神でもなく教会でもない(教会に認められた存在でもない)のに、他人の罪を代わりに食って、罪の赦しを得させ天国へと導くというものだった。
そして、そのシン・イーター、イーデン(エデン)と名乗る男がアレックスの前に現れる。

イーデンは、数百年生き続け、ずっと罪喰いを行ってきたため「疲れた」と語り、その奥義をアレックスに全て継がせると宣言する。

教会の権威でない以上、あきらかに異端なそれに困惑するアレックス。
信仰と背教に揺れる彼を突き動かすために、イーデンは、アレックスの彼女であるマーラーを殺害する。自殺に見せかけて。

自殺は大罪であり天国に召させることはない。アレックスは罪喰いの儀式をはじめ、教会の代わりに罪を許す。そして恩師ドミニクの自殺も、実はイーデンの画策だったと確信する。
イーデンは、教会の権威に懐疑的で異端とされ、野心にあふれ、特異な才能を持つアレックスを跡取りとするため、彼が幼い頃から、父母兄弟を殺してきたのだ。

怒りを抑えることができずイーデンを「唯一、罪喰いを殺すことができる」とされる短剣で刺し殺す。そのとき、イーデンの体内から多くの”罪””汚れた魂”が噴出し、アレックスに飲み込まれていった。そしてアレックスは。

と、物語のほとんどを網羅してしまったが、悪霊喰など一度たりとも出てこない(笑)
キリスト教の「罪の赦し」と「信仰」を題材に、異端とされる「罪喰い」なら出てくる。ただカトリックの世界観をきちんと理解していないと本作がいったい何なのかさっぱりわからない。

教会から離れアレックスは、まさしく「神の権威」を自分の意思で使う「罪喰い」となった。彼が見るもの、目にするもの、触れるものは、奈落の底。汚れた人間。そして愛である。自分の欲望という愛欲が彼の身から消え去ったとき、彼は何かを知ることができ、理解できると信じることにした。その運命からは逃れられないのだから。

聖書のマルコによる手紙にこんな箇所がある。

「ヨハネがイエスに言った。「先生。先生の名を唱えて悪霊を追い出している者を見ましたが、私たちの仲間ではないので、やめさせました。」
しかし、イエスは言われた。「やめさせることはありません。わたしの名を唱えて、力あるわざを行いながら、すぐあとで、わたしを悪く言える者はないのです。
わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方です。」

アレックスは果たして背教者なのだろうか。