★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】ビッグマグナム黒岩先生

校内暴力、不良学生、シンナー、学園荒廃、学級崩壊。そんな荒れ果てた高校「仁義亡学園(じんぎなきがくえん)」に突如として、チョビひげの冴えない中年教師が赴任してくる。その名を黒岩哲夫。”文部省(当時)から銃の所持を許可されている”とマグナムの力で学園を建て直していく。新田たつお原作のマンガ作品を、横山やすし主演で実写映画化した傑作(笑)
新田たつおと言えば静かなるドンでブレイクした作家であるが、その世界観、暴力、背が低く小太りの冴えない男が、脱ぐと筋肉隆々、は本作「ビッグマグナム黒岩先生」でも、まんまそのまんまだった。
当時の社会風潮として、校内暴力や学園崩壊、そこに「金八先生」がはやってたりもしてたので、そのまんま、それを新田たつお風にパクったのが、まるわかりな作品である。筆者的には、その暴力的な作風、むちゃくちゃな設定にニンマリしつつ、実写映画にも期待したりしていた。なにしろ、あの横山やすしが黒岩先生を演じるというのですから。

横山やすしの黒岩先生は、原作とは似ても似つかない風貌。しかし、その「冴えない」教師ぶりと、マグナムをぶっぱなす時のギャップは、黒岩先生の世界観を十分に堪能させてくださいました。横山やすしの遺作なんですよ、この作品。

さてストーリーはというと冒頭に書いた「仁義亡学園(じんぎなきがくえん)」に現れたマグナムを所持した黒岩先生の”教育”。番長や裏番長とのバトル。そして去って行く黒岩先生。
もちろん、文部省(当時)は、そんな教師は知らない、というお馴染みのオチも。
”教育”とは言ってるものの、それはもう、ただの暴力の応酬であって(笑)すべてが暴力のための口実に過ぎないことは言うまでもない。新田作品はいつもそうだ。

作中「愛は力なり!力なき愛は無力なり!!」と、力こそが教育であり、愛だと言わんばかりの台詞も出てくるのだが、不良少年に火をつけて燃やすなど(痛快かどうかはさておき)愛は言い訳にしただけで殴って(一時的に恐怖支配で)言うことを聞かせる支配力に酔ってるだけで、「○○先生」とついているから、金八先生の対極に位置するまた別の愛と教育では全くない(笑)いかにも新田たつおだ。

その新田たつおらしさを存分に堪能できるという意味合いからすれば、俳優としては素人同然の演技しかできない横山やすしであっても、逆に本作を本作たらしめたと言えよう。

主演は横山やすしを筆頭に、西川のりお、高田純二、ベンガル、たこ八郎、紳助竜介など、当時の漫才ブームがうかがい知れる配役。ヤクザ映画・時代劇でおなじみの東映作品。80年代の作品だが、もう少し新しければ間違いなく東映Vシネマにジャンルされる傑作となったことであろう(笑)