★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】2001年宇宙の旅

f:id:tsuchinoko118:20120710123219j:image:left:w260言わずと知れるスタンリー・キューブリック監督によるSF映画の金字塔。本作をもってして、”天才”の名を欲しいままにしたキューブリック監督であるが、久しぶりに見てみると、なるほど、CG全盛でトランスフォーマーが変形しながら戦う時代においても、まったく見劣りはしない。

当時は「シネラマ」という公開方法がとられたようで、今で言うと「3D」とか「IMAX」とかいう感じなのかも知れない。縦9m以上、横25m以上の湾曲したスクリーンに、カメラ(映写機)3台以上を並べて同期させ上映する。観客は、映像に包み込まれる形で鑑賞するので、映像のなかにスッポリとハマりこんだような錯覚を覚える仕組みだ。

筆者は、このシネラマを体験したことはないが、それはそれはドップリに違いない(笑)

そのシネラマに、あの映像。タイトルの通り「2001年」の「宇宙の旅」だったことであろう。

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実際には、2001年は過去のものとなり、モノリスも発見されないし、月面基地もないし、木星への有人飛行もなく、もちろんHALが反乱を起こしたこともない。このままいけば、2010年には、木星の衛星エウロパが太陽になったりもしないだろうと、思っていたが、案の定、そういう気配は微塵もない。

本作では、モノリスというナゾの物体(物体なのかよくわからないが)と、極端に高度な知識をもった宇宙人が、神のように人類を翻弄する。進化の手助けをしているようにも見える。物語の冒頭に、猿が出てきて、いつしか人間になるようなことを暗示して、「進化」というのが前提になっている描写もあるが、進化は自然に淘汰されては起こりえず、もし進化があるとすれば「神」の領域だとする部分が根底にどこかしらある。反面、「神」は高度な文明をもった異星人のようなニュアンスも感じられ、どこかが抽象的だ。

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よくよく考えたら、木星飛行以降のシーン(スターゲイト)あたりからは、抽象画のオンパレードで、最後まで、よくわからないままのシーンが続く。ものの本によれば、わかりやすいナレーションも用意されていたような話しもあるが、公開されたのは、そうした部分を排除、意味不明なミステリアスを残し、完成品とされた。

なるほど、そのほうが、名作足るものかも知れない。

ずいぶんとしっかりとした科学考証もされているが、映画は映画。スタンリー・キューブリック監督は、映画として本作を製作したのだから、それはそういうものなのだろう。どうすれば、おもしろいのか。このあたりが、キューブリック監督たるゆえんでもあったりする。