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★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】インソムニア

f:id:tsuchinoko118:20120628153758j:image:left:w260そんなわけでクリストファー・ノーラン監督が出たついでで(失礼)「インソムニア」というサスペンスがある。

極北に近い白夜の田舎町ナイトミュートで、ケイトという少女が殺される事件が起きた。田舎町の殺人事件ということでロス市警から助っ人として二人の刑事が送り込まれる。ロス市警ウィルと、地元女性刑事エリーは、捜査をはじめるが、ある日「犯人だ」と名乗る男からウィルに電話が鳴る。

眠れぬ町で、犯人を追うはずの刑事が、逆に犯人に追い詰められるという、奇想天外なストーリーに、白夜の町という、現実感のない設定。そこに、アル・パチーノ vs ロビン・ウィリアムスという名優対決を置くと、これほど、おもしろいのかと、感心した。

一応サスペンスなのであろう本作。犯人探しや、殺人の動機、惨殺の手口、そのあたりは、ある意味てきとーで、刑事の心理描写に主眼がおかれた演出がめずらしい。

f:id:tsuchinoko118:20120628153757j:image:right:w240刑事の「心の悩み」に触れたとき、観ている側も不眠症に悩まされるのである。

本作の魅力はノーラン監督の”おなじみ”のキレのある演出に、パチーノとウィリアムスの名優対決である。実のところストーリーが描く二人の「犯罪」や「思い」は、それほど大したものでもない、どちらかといえば勢い余って”やってしまった”的なものだ。しかし、二人とも、ひどく考え込み、あるときには「自分は正しい」。またあるときには「自分は過ちを犯してしまった」と罪の意識に呵まれる。事件の構図そのものよりも、善人であろうとしつつも、実は罪人な”どこにでもいそうな”人間ドラマにある。
二人の名優が、ここをきっちり抑えて演技合戦を繰り広げる様は、まさに固唾をのんで見守るべき上品で高尚な魅力にあふれている。

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物語の最後の方。女性刑事エリー(ヒラリースワンク)が、ウィルの”チョンボ”や”意図的なごまかし”に気づく。問いただそうとしつつもなかなかタイミングがなくそのまま死を迎えるウィル。死を目の前にして、責任追及もなく、そのまま死を見守るエリー。

この終わり方がいいのだ。このすっきりしない終わり方が(笑)

作品はまるで、「死」が罪に対する刑罰なのであれば、すべての人は「罪」を犯したとでも言いたげだ。そして、今ではないが、いずれは必ず「死」を迎える者に、裁くことなど出来ようか、とでも言いたげだ。
このあたりは、バットマンインセプション、にも、しっかり受け継がれていたりする。