★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】レポゼッション・メン

f:id:tsuchinoko118:20120608125559j:image:left:w240近未来。人工臓器で「健康」を手に入れることが出来る時代。人々は高金利のローンで、体内に人工臓器を取り付け、「病気」をローンで治し「健康」をローンで買い取る時代。

ローンが払えなくなると、人工臓器を差し押さえられてしまう時代。
人工臓器を差し押さえ回収する連中がレポメン、レポゼッション・メンたちだ。

今日もローン不払い90日を過ぎた男がレポメンによって、手際よく、臓器を回収される。もちろん、埋め込まれた臓器を回収された人間は、そのうち死ぬだろう。しかし、それについてはレポメンは何もしない。なぜなら彼らの目的は、人工臓器を回収することにのみあり、ユーザーの命の保証ではないからだ。


f:id:tsuchinoko118:20120608125558j:image:right:w260腕利きのレポメンであるレミーは、相棒のジェイクと共に、次々と見事な腕前で人工臓器を回収し、社内での評判も上々だったが、ある日「回収」の最中に、ほんの少しのミスから重傷を負ってしまう。
有無を言わせず、手術を受け、人工臓器を埋め込まれ、多額の高金利ローンを組まされてしまうレミー。レミーは、凄腕のレポメンから一転、追われる身となってしまう。

レポメンたちから逃れることは不可能だと知ったレミーは、人工臓器のメーカーであり、レポメンたちの雇い主であり、高金利ローンを組んでいる元締め ユニオン社の中枢部に乗り込んで、管理システムコンピューターを破壊、データを消去しようと決意する。

ジュード・ロウ主演の近未来ややデストピア・アクションもの。題材としては「人工臓器」で、はたまた「高額ローン」だが、高度医療や医療費と理解しても同様の鑑賞ができる。臓器回収シーンのグロテスクさ、ジュードロウの逃避行のアクションもスタイリッシュで、なかなかイカす作品のはずなのに、どこか面白くない。一つは、レポメンだったレミーが追われる身になったとたん、手のひらを返したように、レポゼッション(回収)=悪のような心持ちになってしまっていて、いささかご都合主義なところと、ラストシーンの”夢オチ”。

f:id:tsuchinoko118:20120608125557j:image:left:w260見終わってから、トータルで思い返してみると、単に臓器・ローン・回収アクションなだけで、そうなってしまった社会問題など根本的なところからは、あえて目を背けてしまったような脚本と演出に不満が残っていることがわかった。

よくよく見ていると、レミーが臓器を埋め込まれるハメになったのも、ユニオン社の仕業なのだが、こういうことをするのなら、世界中のほとんどの人に対してもやってそうなのに、そこは、あくまで「健康のため」「病気を治すため」で、ユニオン社の本質が書き込み不足。
もちろん、レミーやジェイクが、なぜレポメンをやってるのかも、書き込み不足。ヒロインのアリシー・ブラガが、なぜ全身人工臓器なのかも、書き込み不足。

いろいろなところで、書き込み不足があるように思えて、作品の重厚さよりも軽薄さの方が際立ってしまっている面があるのは否めない。
しっかり興行成績もマイナス勘定だったようだ。

アイデアの過激さはおもしろいのに残念な作品ではある。