★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

Kg単価で取引して、mmで売る

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金属関連(鉄鋼・鋼材)は、溶鉱炉で鋳鉄する「ある意味、液体」だからなのか、事情はわからないが、トンや、キログラムといった重量で売り買いしている。実際に購入する際には、厚さ○mmx幅○mmx長さ○mmだし、購入した金属を切断し、加工する際も、インチやミリといった長さで取り扱っている。


使うのは、ミリなのに、売り買いはキロ。


例えば 厚さ2.3mm の鉄の板 1000mm x 1000mm を買うとする。
このときの値段は、2.3mm x 1000mm x 1000mm x 比重 7.85(g/cm3) で計算された「重さ」に、Kg単価を掛けた金額である。


棒状のものも、同様だ。例えば φ16mm の丸棒を 2000mm 買ったら、1mいくら、ではなく、あくまでも、この丸棒の重さに、Kg単価を掛けた金額で、売り買いされる。


この慣習は、金属の材料を使う場合、ふつうの販売管理、ふつうの在庫管理、ふつうの購買管理、ふつうの原価管理では、なかなか、うまく管理できないことを意味する。


在庫管理において、ふつうの入出庫の管理は、個数で行う。
多くの「工場向け」と称したシステムでも、個数がほとんどだ。


例えば、ステンレスの板を購入する。


SUS304 t6 x 1000 x 2000


といったような寸法のものを、1枚購入すると、入庫=1 だ。現在の在庫数は 1。


問題は出庫の時で、この購入した SUS304 の板を、そのまま、まるごと、使うとか、そのまままるごと売るというのなら問題はないのだが、こういう板を購入する工場では、多くの場合は、板を切断する。


つまり、出庫するときは


SUS304 t6 x 120 x 320 が 2個
SUS304 t6 x 500 x 210 が 1個


という具合に、材料が出て行く。


ふつうに入出庫していては、結局、今、厚さ 6 の SUS304 がどれだけあるのか、管理できないことになる。


では、どのようにして、コンピューターで管理するのかといえば、
この例の場合、 SUS304 t6 x 1000 x 2000 という板材を、1枚、仕入れた、と、考えることにムリがある。


SUS304 t6 という「厚さ 6mm の ステンレスの板材」を、1000 x 2000 x 1枚仕入れ
SUS304 t6 という「厚さ 6mm の ステンレスの板材」を、120 x 320 x 2枚出庫し、
SUS304 t6 という「厚さ 6mm の ステンレスの板材」を、500 x 210 x 2枚出庫した、と、捉えないといけない。


つまり、「SUS304 t6 」までが、材料名であり、のこりの ○x○ ○枚の数値は、すべて、数量だということである。


ふつうの在庫管理(購買管理)での入力は、


「SUS304 t6 x 1000 x 2000」 が 「1個」を仕入れた、ではなく


「SUS304 t6」 が 「2000000」個仕入れた、と、入力しないと、正しい在庫管理はできないことになるが
在庫の入庫は、実質的には、ほとんどの場合「仕入」なので、単価 x 数量 = 金額 を計算する必要性があり、この入力だと、どこにも、単価は示されない= あくまでも ○キログラムで、いくら、なので、入力すら出来ないことになる。使い方、運用方法でさえ、逃げられないわけだ。


結局のところ、どのように試行錯誤しても、金属の加工がともなう生産現場の場合、ふつうの購買管理、ふつうの販売管理を使っても、どうやっても、原価管理も在庫管理も、できないのだ。


多くの中小企業では、在庫管理の機能があるシステムを導入しても、使えないので、仕方がなく、長い記号だらけの名称を入力しながら、個数x単価だけで購買管理をおこなうのみ = 在庫管理は行われていない。


さらに、在庫されている板材を切り、製品をつくる場合にも、どこにも「原価」が記録されておらず、管理すらされていないことも多いので、つくった製品の原価が、いったい、いくらかかっているのかさえ、わからない あるいは、てきとう、あるいは、赤字にならないように数値を捏造、という、燦々たる状態なのが、実情である。


ムダな在庫はふくらみ、赤字・黒字も、税理士の作成してくる決算書でしか、わからない。


地図も計器もない航海のようである。


見える化が、うるさく言われ、工場向けのいわゆる「生産管理」を含めた「ERPシステム」も、10年ほど前から、ぽつぽつ出てきたこともあって、多くの中小企業が、なんらかの形で、コンピューターを導入し、使ってはいる。


しかし、金属などの材料を加工する(とくに切断する)工場を持つ企業では、高額のシステムを導入し、やれQC工程書だ、やれ展開型だ集約型だ、ガントチャートだ、と、「いかにも、それっぽい」図が出てくる仕組みを持ってはいても、肝心の、寸法、キログラム、Kg単価が入力すら出来ないことが、ほとんどで、単に、”エクセルに記録を残していってるだけ”のような使い方になっていることが多い。


多いというか、ほとんど全部の企業が、そういう状態のように見える。


当然、システム導入前に、期待していた帳票や図は、出てこない。
なぜなら、そもそも、値を入力できないのだから。


まるで、お肉屋さんで肉を○○○グラム買う、かのような金属の仕入。
使うときは、お肉のように、○○○グラム使う、のではなく、○○mm、○○インチ、○○mで使う。


単位の変換がある、のが、金属の取引の特徴である。


材料の重量が知りたい。材料のキログラム単価が知りたい。本当は、仕入や出庫と連動すべきなのだが、見本に、と、言いたげに、取り組みとして、見積部分だけを、無料で配布している。(製造業用です)

ここからダウンロードできますよ→ http://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se483483.html

生産管理システム、もう、導入されてますか?


よく見ると、単なる、ワープロになってませんか?


だから、と、システムを使わないで、エクセルでも同じだ、と、エクセルファイルだらけで、後から流用、集計ができない壁に、ぶちあたったりしていませんか?


自動車と、ひとことで言っても、ダンプもあれば、軽自動車もあり、重機もあるように、
生産管理システム、購買管理・販売管理・在庫管理システムと、ひとことで言っても、いろいろあるんです。


とくに、金属材料は、「Kg単価で取引して、mm で売る(つくる)」という、”単位変換”があるので、一般的なシステムだと、結局、ほとんど、使えないということに、なっちゃうんです。


気をつけましょう〜。

※ 同様に、ゴムだとm2、樹脂だとリッターが、いりますよ。