★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】1984

f:id:tsuchinoko118:20120228063233j:image:left:w240国家は、存在するのかしないのかさえわからないリーダー「ビッグ・ブラザー(BB)」のもとで”全体主義”を敷き、他国と戦争を繰り返していた。

国民は集い、敵国の象徴、これまた存在するかしないかもわからない「ゴールド・ステイン」に対し”二分間憎悪”を行い配給される貧相な「勝利ジン」に酔い「勝利タバコ」で憩いのひと時を送っていた。

「真理省記録局」では、あらゆるメディア、雑誌、新聞、小説を、改めて書き直し、記録を捏造。過去を改ざん。歴史を、その都度、政府の支配体制の都合のいいように作り変え、国民=大衆への情報操作を怠らずにいた。

「思想警察」が暗躍し、「スパイ団」への加入「密告の奨励」により、国家体制への反逆者は、捕らえられ、死刑とされ、そして、また記録の捏造により、初めから、その人物は、いなかったことになる。

国民の各家庭には、「テレスクリーン」が設置され、常に、監視されている。日記をつけることも禁止、恋愛もご法度。言葉は、極端に単純化された「ニュースピーク」が公用語とされ、隠語、複雑な感情を、表現できないようにされていた。とくに政治的な思想・内容については、それを「言葉では表現さえできない」ように言語が構築されていた。言葉を持たないため、団結・反乱はもちろんのこと、それを考えることすら出来なくされていたのである。

主人公ウィンストンは、いつしか、この国家体制に疑問を抱き始め、結果、若いジューリアという女性と恋に落ちるのだが・・・・

f:id:tsuchinoko118:20120228063234j:image:right:w300
恐るべき全体主義の”デストピア”を描いた、ただひたすら暗く陰鬱で重苦しい”名作”。
手法こそは、異なるが、現代社会と何ら変わらない、また別の”未来”世界を、描いていると思えるのは、考えすぎであろうか。
劇中では「二重思考(ダブルシンク)」と「犯罪中止」という”自己規制”が刷り込まれ、「2+2=5」は、あり得るという世界観が描かれる。すなわち、たとえ、現実と矛盾していても、”全体”の利得のため(という口実の既得権益の護持)自分を自分で制御することによって、その矛盾に目を向けないで、受け入れることである。
作品では、これらが、情報操作と言語操作、そして、拷問という暴力で国民を洗脳することによって成り立っている描写がなされる。
しかし、特権階級からすれば、これらは「洗脳」でも「マインドコントロール」でもなく、しかるべき教育なのである。

f:id:tsuchinoko118:20120228063232j:image:left:w240
1984年に、本作を原作とした、非常に忠実な映画化がなされている。ビデオは発売されたものの、いまは、在庫ナシ。DVD・BDでの復刻が待ち遠しい。

音楽は、なんと、ユーリズミックス
この「テーマ」は、とかく、よくCMやポップアートの世界で印用されている。1984そのものを読んだことがなく映画を観たことがなくても、必ず、どこかで観たことがあるはず????