★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】SP野望篇・SP革命篇

f:id:tsuchinoko118:20120224063057j:image:left:w220筆者は民放を見ないが、フジテレビの「SP 警視庁警備部警護課第四係」という連続ドラマの映画化らしい。
主人公のSP井上薫は、幼少の頃、テロで両親を亡くし、その時のトラウマから、「シンクロ」「フォトグラフィック・メモリー」「予知」の”超能力”を獲得、能力を発現しつつ、SPの公務をこなしていた。
この公務。本来のSPの使命である要人警護、すなわち盾となって要人を護る役割を逸脱し、犯人を追いかけ捜査し、と、西部警察や太陽にほえろと彷彿させる、アクティブなアクション活劇となっており、宣伝でも新型アクション活劇のような触れ込みで、SPを描いたというわけではないようだ。




f:id:tsuchinoko118:20120224063056j:image:right:w220そんなわけで、筆者はテレビドラマを全く観ないで、本作を観たわけだが、テレビドラマありきのテレビドラマの延長線上にある話のようで、最初はさっぱり状況さえも理解できなかった。
とくに、井上薫の特殊能力発現の際には、「ドカーン!」と爆発するビジョンが見えた直後、要人警護のため「ドカーン!」と爆発させないようにアクティブに活躍し、阻止してしまう。
というようなことが、たてつづけに続くので、その万能選手の大活躍にフラストレーションがたまり興ざめ。前編にあたる野望篇では、七福神のようなお面をかぶった連中と殴り合うだけで、「これ、何?」感が強かった。
後編の革命篇では、この特殊能力はあまり活かされておらず、さらに「これ何?」感が強く、気がつくと終わってしまった、という感想を抱いてしまった。
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ストーリー的にも、前編「野望篇」で井上の上司に当たる緒方係長が「大義のためだ・・・」とつぶやき、伊達幹事長の暗躍、高級官僚の暗躍など、何か大きなことが起こると予感させるような作りで、後編への期待をかきたてる構成になっているのだが、後編にはいって、フタを明けてみると、緒方係長のいう「大義のため・・・」は、実は、単に個人的恨みと憎悪のことだったり、伊達幹事長や高級官僚たちの目論見も、単に権力獲得のためというひじょーにステレオタイプな話で、これも興ざめ。
主人公井上と緒方の出会いや、伊達幹事長の幼少時の関わりなど、興味深い人間関係の設定もあったようだが、描き込み不足で、「それで・・?」で終わってしまい、ストーリーに全然、活かしきれていないところも、これまた興ざめ。
当然、こんな展開なので、おそらくは、それぞれにテレビでは活躍したのであろう第4係の面々も、大した活躍もなく、チームとしての存在を否定したかのようなつくりになってしまっている。

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主人公井上薫を演じる岡田准一の本作への意気込み、気合いの入り方は、ただものではなく、決めポーズから、多くのアクションシーンから、全てが様になっており、決して悪くはないと思うのだが、どうも脚本と演出に冴えがない。
井上の特殊能力の活かし方、井上と緒方の関係、あくまでも、井上を主人公にした話作りが必須だったような気もする。あれでは、程度の低い役人批判、政治家批判で、スーパーヒーローの登場するアクション・エンターティメントである本作で描くような話ではない。(ほかに、描き方があるだろう)
緒方係長が、大義のため、と、国会議事堂を占拠するくだりも、アイデアはいいものの、その大義や、裏で暗躍する連中の目的が、非常にくだらないもので、大義の計画が失敗に終わったあとも、「ちくしょー」程度で済んでいるのも、つまらなさ100倍。もうちょっと描き方があるだろう。
そう思うと、七福神のお面など、最悪の演出で、とても本気で「日本転覆」を図ろうとしているように見えない。悲惨すぎだ(笑)

実際、本作を放映した日本映画専門チャンネルHDの”支配人”も、「国会議事堂、すごかったですね〜。あれは、本格的にセットを組み、CGでディテールをおぎなっているんですね〜」と、案内していたほど、主人公井上とストーリーには全く触れない案内をしていたりもした(笑)

やはり、国会議事堂は燃やして灰にするとか、緒方と幹事長が対決して両方死ぬとか、暗躍していた高級官僚の企みは白日のもとにさらされ、手錠をかけられるとか、しかも、それは全部、井上一人が解決するとか、ありえないほどのカタルシスを描く気合いがないと(笑)

とはいえ、井上のキャラもいいし、俳優のがんばりもいいので、あと何度か観てみると、新しい発見があるかも知れない。そんなわけで、もう2〜3回は観てみようと思っているところである。