★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】インシディアス

3人の子どもに恵まれた夫婦は、ラップ現象などの怪現象に悩まされ新居引っ越してきた。ある日、息子のダルトンが屋根裏部屋の梯子から落ちて昏睡状態に陥ってしまう。原因不明のまま回復の気配もないダルトン。医師、牧師、霊媒師にも頼るも解決することはなかったが、夫の母親の紹介で霊能力者エリーゼが現れ、ダルトンは幽体離脱が可能な能力を有しており、抜け殻となっていると告げる。抜け殻となった身体を乗っ取ろうと死者たちが近づいて怪現象が起きているのだ、と。さらに悪魔がダルトンや夫婦を苦しめるため暗躍しているという。
あまりに、うさんくさい話にうんざりの夫だったが、実は夫も幼い頃に幽体離脱を行い、老婆の霊に身体を乗っ取られようとしていたことがあり、霊能者エリーゼに救ってもらった経験があったことを母親に知らされる。にわかに信じがたい話しだが、息子ダルトンのため、再び幽体離脱を行い”彼方”に息子を探しにいくことになった。はたして。

監督はソウの創作者ジェームズ・ワン。脚本はワン監督とソウでコンビを組んでいたリー・ワネル。製作はパラノーマル・アクティビティのオーレン・ペリということで、しっかり珍種のホラーである。
ソウで遺憾なく発揮した頭脳戦と残虐性は、なりをひそめ、なぜか家族が助ける人情ものの要素が色濃いのは、どういうわけか。ともかく基本的には、オカルト・ホラーであり、見えざる霊に翻弄される家族と周囲の人を描く。

最初は家にとりついた霊かと思ったら実は息子に取り憑いていたとか、取り憑いていた原因が幽体離脱能力だったとか、なぞの霊能力者エリーゼとオタクっぽい彼女の部下とか、いろいろと凝った設定やストーリーを用意しているものの、”恐怖”部分は突然悪魔がちらっと出てくるとか、ピアノのジャーンという大きな音とか、ノリが「驚かせる」に近くパラノーマル・アクティビティのような作風であったりした。

一度観てみると、それはそれは、驚く(笑)
二度観てみると、悪魔とされる赤い顔の恐怖の象徴が、スターウォーズのダースモールのような赤黒のくま模様で、なんだこれはと驚く(笑)
三度観てみると、実は話しがつまらないことに驚く(笑)

非常に内容の薄い1本ではあるが、はじめて一度だけ観れば、けっこう怖いと思う。
怖いというか驚くかも知れないが。

ラストも、しっかり息子は助かり、ダンナの方も老婆の霊に「近づくな!」とか言って霊が去っていってしまい、このままハッピーエンドで終わるのかと困惑していたら、ちゃんと後味の悪いバッドエンドが待っている。このあたりはしっかりポイント抑えてあるなと感心だ。

よくよく観ると、冒頭のタイトルからエクソシストのパクリだし、シャイニングのパクリもあり、ホラー好きにはうれしいパクリ(あえてオマージュとは言わない)が満載。

「売りたい」という野心が見えすぎる分、おもしろさや内容の濃さが半減しているのは惜しいかも知れない。やはりジェームズワンとリーワネルは「家族愛」は似合わない。次回作に期待したいところである。その証拠に、ほら・・・ ビリー人形が・・・