【映画】スパイダーマン3
結局3作目までもを監督したサム・ライミ。往年のダークマンを思い出させるようなダークな演出全開だ。有名どころの悪役ヴィラン(サンドマンとヴェノム)を登場させつつ、最新CGで眼を楽しませてくれつつも、内容のあるストーリーには感服する。
怒り・ねたみ・復讐心、攻撃的なそれらのもつ魅力的な魔力と、その圧倒的パワーが、結局、愛するものを守れず、むしろ、傷つけ、結果として、自分をも蝕む。そこには、自分としての理由=正当性があり、逃れるのは至難の技だ。
グリーンゴブリン(父)を殺されたゴブリンジュニア(ニューゴブリン)は、父を殺されたとスパイダーマン=友人ピーターを恨み、その恨みの故に、復讐をする。
ヴェノムは、名声欲しさにズルをして会社を解雇されたことを妬み、スパイダーマン=ピーターへの報復をする。
ピーターも、ベンおじさんを殺されたからと、サンドマンへの復讐を果たし、そして、強い力、圧倒的優位性に酔いしれ・・・
本作では、正義のスパイダーマンは、暗黒の力を正義の最終兵器で駆逐する。
それは、すなわち「許し」
親が殺された時、親類を殺された時、彼女を奪われた時、怒りに正当性を覚え身をまかせることなく、「許す」ことができないのならそれは、ヴェノムにとりつかれたピーターやエディと同じなのである。そして、それは、認めがたく、とてつもなく難しいことでもある。
サムライミがアメコミ実写映画3作で描いたことは、自らを犠牲にし、許す。それが、愛するということなのだ。
本作のタイトルはスパイダーマンであり、彼が主役には間違いないのだが、本作の本当の主人公は、親を殺され復讐に邁進しつつも、結局、友人であるピーター=スパイダーマンを許し、そして自分を犠牲に差し出した、某君なのであった。
なんといってもジェームズ・フランコの快演に感動。彼の今後を期待させる一品であった。