★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【映画】死霊のはらわた

f:id:tsuchinoko118:20121118130919j:image:left:w260原題は Evel Dead。ものすごくダイレクトなタイトル。スパイダーマン3部作ですっかり著名大作監督となったサム・ライミ監督の処女作品で、公開当時に少なくとも日本でスプラッターホラーの先駆けとなりブームを巻き起こした作品であると記憶している。

森の中。仲間と休暇。別荘の地下室で偶然「死者の書」を発見。死者をよみがえられる呪文だという。悪ふざけのつもりで「死者の書」と一緒にあったテープレコーダーを再生してみたところ、ほんとうに死者(の魂= Evel Dead)がよみがえってしまい、みんな、えらい目に逢う。

襲ってくるのが見えない霊魂だというだけで、シナリオは、よくあるホラーを踏襲したオーソドックスなもの。ただ、その”取り憑かれた”描写が非常に汚らしく、血しぶき飛びまくりで「スプラッター」というわけだ。物語の最後に向かうと、それまで、「ああ、仲間が取り憑かれて化け物になってしまった・・・」という悲哀というか落胆というか、そういったものは全てなくなり、主人公のアッシュ(ブルース・キャンベル)は、悪霊に向かって(仲間に向かって)果敢に戦いを挑み勝利してしまう。仲間全員みなごろしという、なんとも破壊的な脚本も、そのスプラッター色に磨きをかけたものとなっている。

カメラを取り付けた木材を二人で地面すれすれに走って撮影するシェイキーカムという(後のサムライミ監督お馴染みの)手法も、デビュー策にして登場。なにものかが、すさまじい速度で、襲ってくるという描写に効果的に使われている。

f:id:tsuchinoko118:20121118130936j:image:right:w280いま見ると、スプラッターホラーは、笑って見るものだと、つくづく感じる。恐怖映画の体を為していつつ、見て恐怖を感じるのではなく、うわー、どきっとジェットコースターや、昔のお化け屋敷のような楽しみ方だ。友人同士で楽しむも良し、ご家族で楽しむも良し、明らかに作り物の派手なメーキャップに、明らかにうさんくさい展開。あとはただ、残酷なシーン。よく考えるとストーリーも何もなく、(エクソシスト)のような後に(トラウマとして)残るようなものも何もない。へどをはき、血しぶきがとび、日常ではありえないその小汚いシーンは、「ハレ」と「ケ」の関係のようで、生活にメリハリをつけるにはもってこいの作品だ。

f:id:tsuchinoko118:20121118130956j:image:left:w280さて、この死霊のはらわた。大人気で、続編、続々編と3部作構成になっている(といっても関連性はほとんどなく、続々編のキャプテンスーパーマーケットに至っては、SFチックすぎてスプラッターホラーなのかどうかもあやしいが)
また3部作を堂々の主演で通したブルース・キャンベルは、その後、さほど話題にのぼることもないものの、サム・ライミ作品の常連で、大半の作品に端役でこっそり出演している。なにやらサム・ライミ監督の中学生時代からの友達で、ずっと一緒に自主製作映画をつくってきた関係らしい。

そして来年公開予定(らしい)のがリメイク版。サムライム監督とブルースキャンベルは製作(プロデューサー)としてクレジットされている。はたして、この旧きワケのわからない80年代の作品が、現在において、どのように料理されるのか。ちょっと楽しみだったりする。
まさか、まったく、そのまんまというわけでもあるまい。オーメン666のような・・・