【映画】4デイズ
公開当時、イラク戦争への賛否両論があり陰謀論もあり、そして忘れられない米兵の拷問・リンチが問題になった。それを題材にしたのが本作「4デイズ」である(たぶん)。
米国市民であり米兵だった経歴を持つスティーブン・アーサー・ヤンガー(マイケル・シーン)は、ある日とつぜんマスコミにビデオテープを送りつける。「米国の大都市3カ所に核爆弾を仕掛けた」。
すぐにヤンガーは身柄を拘束されるが、どんな尋問を受けても、彼は絶対に爆弾を仕掛けた場所を赤そうとはしなかった。
FBIのテロ対策チームのヘレン・ブロディ捜査官(キャリー・アンモス)はヤンガーの尋問を試みるも「自分はヤンガーではなくヨセフと改名した。」と、アッラーへの信仰を告白する。そこへCIAの特別尋問官と名乗るHという男が現れ、尋問を交代する。
H(サミュエル・L・ジャクソン)は、おもむろに斧でヤンガーの小指を叩き切り、苦痛に絶叫するヤンガーをよそに、たかだか小指だと、ありとあらゆる非人道的な尋問(もはや拷問)を続ける。あまりに非人道的なやり方にヘレンをはじめとする周囲は、Hに反発するが、多くの国民の命を守るためだと尋問(という名前の拷問)はエスカレートする。
そんなとき、ついに爆弾の場所を明かすヤンガー。
現地に向かうと、そこにはヤンガーの写真が貼られた装置があり、写真をはがすと装置が起動、すぐ近くのモールが爆発し、53名の犠牲者が出た。トラップだったのだ。
ついには、ヤンガーの妻をも連れてきて、妻を傷つけるぞと尋問する(脅す)H。それでも耐え、答えないヤンガー。Hは、ナイフで妻の首をかっきり殺してしまう。絶叫するヤンガーだったが、それでも爆薬の在処はしゃべらない。
そうして、刻一刻と、核爆弾が爆破する時間が近づいていくのだった。
はたして尋問は成果を得るのか。
なんと言えばよいのか、アクションでもないしスリラーでもない。戦争映画でもないしクライムサスペンスでもない。物語のほとんどが、地下の尋問室という閉鎖空間で繰り広げられ、最初から最後まで、ただひたすら酷すぎる尋問が延々と続く。「爆弾はどこにあるのか」というミステリー調のストーリーらしきものは確かにあるのだが、シークエンスのほとんどは、それを口実とした暴行で、刑事ドラマや探偵ものを期待してはいけない。
この香りは、ソウ・シリーズからジグソウをなくしたような感じだ(笑)
サミュエル・L・ジャクソンの、わけのわからない特別尋問官の暴行を見るための作品である。たぶん。
ただ、爆弾犯人は米国人であるもののムスリムを標榜しヨセフと名乗りアッラーを崇拝しており、これを米国民を守るためだと、ありとあらゆる非人道的な尋問(拷問)を続け、あまりの惨さに中止を訴えるFBI捜査官にも、なぞの人物(米国政府の要人らしい)が、国民のためだと、Hの執拗な尋問(拷問)を続けさせること、あたりは、明らかにイラク戦争への反論だろう。
そういう意味では反戦映画なのかも知れない。
ただ、やはり、そうは言っても、最初から最後までの密室での拷問が、この作品の骨子である。
原題は Unthinkable。なんにも考えてねぇ、ってことだろうか。
4デイズは、尋問がはじまってから爆弾が爆発すると予告された日までの日数で、この4日間、ひたすら拷問を続ける筋書きだったりするのだ。
ラストは、大変後味が悪い。
ぜひ劇場で見たかった。