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★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

重要な話から、どうでもいいことまで。ほとんど役に立たないことを書き連ねています。

【PC】RAID-5の危険性(あぶない)

数年前、どこもかしこも RAID内蔵の「 LANディスク 」という名前の NAS を製造販売していた時期がある。ところが、しばらく経過すると、どこもかしこも、その RAID内蔵の「 LANディスク」という名前の NAS を製造販売しなくなってしまい、普通の「 LANディスク 」という名前の NAS を製造販売するようになった。

理由はよくわからない。

ただ RAID という機構が、ほんの一瞬だけ誰でも手に届く範囲に下りてきて、再び去って行ったのだった。


RAID とは、カンタンに言えば、ディスクアレイのことでハードディスク(HDD)複数台を1台のように取り扱うことが出来る機能である。大きく分けて、ストライピングとミラーリングがある。ストライピングは RAID レベル 0 とも呼ばれ、2台のハードディスクに分散してデータを書く。1台に100のデータを書くよりも、2台に同時に50づつ書いた方が速度が速くなるというもの。もうひとつのミラーリングは、RAIDレベル1は2台のハードディスクに同じデータを書く。1台に100のデータを書くよりも、2台に同時に100書いてしまうと”予備”が出来て安全だ、という話だ。

RAID-0 は速度。RAID-1 は冗長性(安全性)ということになる。

ストライピングは「ストライプ」+ ing = しましま模様:データばらばらでディスクに書く。
ミラーリングは「鏡」= 2つのディスクはいつも同じ内容。
ということである。

それまで、ほとんどのディスクアレイは、RAID-0 または 1 または 0 と 1 を同時に使うものだったが前述の「 RAID 内蔵 LANディスク 」が出回った頃は、 RAIDレベル 5 というものが台頭してきた。0 でも 1 でもない 5 だ。

RAIDレベル5 は基本的にはストライピングである。3つ(または4つ)のハードディスク構成で、バラバラに書く。で、ついでに、パリティと呼ばれるデータを書く。このパリティがあると、あとでデータが復元できるという仕組みだ。この仕組みのメリットは何かというと、RAID-0 だと危険だし RAID-1 だと、同容量に対して2倍のコストがかかる。しかし RAID-5 だと、3台で RAID-0 と 1 の美味しいところを両方使える。。。。。はず。 ということであったりする。

パリティという復元機構があるので「ハードディスクが1台故障しても安全!」と、あたかもバックアップが取られているかのような宣伝もなされ、5400rpmのHDDも高速動作し安く済むことも手伝ってか、ともかく「 RAID 内蔵 LANディスク 」は、ほとんどが RAID-5 であったりもした。

たしかに、HDDが1台壊れて交換したら治った(復元された)ことを経験することもあるだろう。

しかし、そこに罠がある(笑)

1つの罠は「HDDひとつ」で、自動的にホットスワップするような機構だと、HDDが1つつぶれたことに気がつかない。あるいは、はっきりと「つぶれました」とシステムが停止するような機構でないと、「調子が悪かったので電源を再起動したら治った」と、”一時的な再構成”を誤解している場合もある。気がついたら2個目が壊れて、全データ消失である。

2つめの罠は「パリティであってバックアップではないこと」で、ハードディスクが壊れてしまった時に、交換したらバックアップから戻してくれるわけではないこと。あくまでも残ったデータからの再構成であり、復元に失敗することもあるし、最悪の場合にはディスクアレイそのものが壊れてしまうこともある。この点は非常に誤解が多いように思う。正しく動作していれば100%のデータ安全を保証するが、壊れたときは危ないのだ。万が一のことを考えるのなら、当然、バックアップは必須。しかし「パリティがありHDDが(1台)故障しても大丈夫」という謳い文句からなのかバックアップをとっていないことが非常に多いように感じる。

3つめの罠は「ストライピングである」こと。RAID-0でも同じことだが、データが複数のHDDにバラバラに書き込まれているということは、再構築には”そのデータを書き込んだコントローラー”が必須。他のPCに接続しても読み出しは不可能で、ちまたでよく見かける S-ATA~USB変換ケーブルなどでつないでも、読むこともできない。中身は全く見えず「フォーマットしますか?」と聞かれるだけだ。HDD が壊れていなくても、コントローラーが壊れたらどうなるのか。当然、全データ消失は免れない。

これが原因なのかどうかはわからないが、(BUFFALO社を除いて)ほとんどの「 RAID内蔵 LANディスク」が姿を消した。そして、”設計不良”のようなこの構造に対応するためなのか 4台構成の RAID-5 (すなわち1台が壊れたら自動的に、予備の1台をつかって再構成してくれる)ものや RAID-6 が登場する。ただ、いずれにしてもストライピングなので、第一の罠に対処しているだけという感は否めない。第2・第3の罠には対処不能だ。

マニュアルを熟読する方は、ひょっとして気づいていらっしゃるかも知れないが、おすすめは「 RAID-1(ミラーリング)」なのは間違いない。

かなりの冗長性を持つことになるので仮に 500GBx2 = 1TB(1000GB)のディスクを用意しても半分 500GB になるし、速度も速くなるどころかむしろ遅くなる。

しかし3つの罠になぞらえるならこうなる。

1つの罠では「HDD1個がつぶれても大丈夫」だ。なにしろ、もう1個全く同じものがあるのだから。そして1つ潰れると多くのシステムは何らかのアラートを出す。(この点、なぜ RAID 5 では目立ったアラートを出さない機構が存在するのかが不思議でならない)すぐ気づく。ホットスワップなら、同型機またはそれ上位の HDD を交換すればよい。また RAID-1 では、500GB の HDD x2 を使っていたとしても、1台づつ 1TB に変更することで 1TBの RAID-1 になる。このあたりの柔軟性はストライピングでは不可能だ。

2つめの罠では、なにしろ「ミラーリング」なので「完全なバックアップ」である。壊れたときの再構成も、再構成というよりは、「まるごとコピー」だ。復元不能という問題はない。

3つめの罠では、特殊なフォーマットでもない限り、コントローラーが壊れても早い段階で別のPCにつなげれば、ファイル、データそのまま読める。なにしろ「コピー」だから。
一部の情報では EXT3 だと読めないとか、いろいろ言われているが、Linux で読めるし、Windows にも EXT3 をそのまま読み込むユーティリティが存在する。なんの問題もない。(ただし、今はどうだか知らないが BUFFALO社製の製品の 一部の EXT3 は、なぜか読めない時期があった。なぜだかわからない。オリジナリティあふれる特殊なコントローラーなのかも知れないが、危ないことこの上ない。実際、ある会社製はデータが復元できない事故を起こしている)

ふつうの RAID-5 FAT32 か NTFS か EXT3 なら 最悪の場合でも、データの大部分は救出できるのだった。


かの あり得ないほど低価格の RAID-5機が出回り、そろそろ5年以上。機械としての消耗の時期でもある。まだ RAID-5 構成のみで稼働させているのであれば、はやめにバックアップを用意するか、あるいは、この機に RAID-1 構成の Windows Server か Linux Server に切り替えてはいかがだろうか。

消えてよいデータなど滅多にないが、規模の大小関係なく、例えば仕事のデータが全て失われたら・・・・

とりかえしが付かないほどの痛い目を見ないうちに対処。
RAID-0 ではなく 5 を選んでいるのは、その対処の1つだと考えたからに違いないのだから。実際には対処になっていないことを知っていただければ。

RAID-5 は危ないのだ。


ここしばらく、やれサーバーが壊れた、やれNASが飛んだと当社に相談・持ち込まれるもののほとんどが RAID-5 で、な、な、なんと「 RAID だからバックアップとれてるはず 」と多くの人が言うので老婆心ながら、勘違いしている人へ伝えたくなったのだった。早急になんとかしないと危ない、と。