★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【音楽】LOGIC SYSTEM(2) VENUS

f:id:tsuchinoko118:20111229053048j:image:left:w220第4のYMO松武秀樹のソロプロジェクトLOGIC SYSTEM の第二弾。縦割りビートの1作目 LOGIC からは打って変わって、フュージョンを思わせるような横ノリで埋め尽くされている。

今回は”楽曲集”とは一味違い、聖書の創世記をモチーフとした(と自称)ドラマ・ストーリーによってドラマチックな楽曲構成となっており”組曲”といった風体である。

創世記とはいえ、付属のジャケットを読んでいると男と女、アダムとイブ、ふたりの男女という印象だけ取り上げられ、どちらかというと、新しいギリシア神話のようなイメージだが、まあ創作作品なので、そこはご愛敬。


f:id:tsuchinoko118:20111229053047j:image:right:w220楽曲的には、ぶっといタンスのアナログな低音が活かされた曲が多く、作曲家・編曲家の作品性意外に、シンセサイザーの技術屋ならでわの作品が並ぶ。16ビート基調のシンコペーションが多用され、極端なエレキ化が進んだフュージョンそのもので、当時「シンセ=テクノ=堅くて機械的」という市場の印象をぬぐい去ろうと試みられている。しかし、テクノはテクノ。その”人間的”な横ノリで、人間のモノマネをしているのではなく、あくまでもテクノの枠内で表現されていることには驚きを隠せない。

いまや、シンセ=テクノではなく、多くの楽曲がシンセサイザー(とは、もう言わないのかも知れないが)で作られ、自分が演奏する技術・芸術だけでは収まりきれない音楽が世の中には多数あふれているが、当時は、まだ、一部の隠れた物好きか専門家にしか受け入れられず、楽曲がどうだ、雰囲気がどうだ、この作品性は・・という話のまえに、やれムーグでつくった、やれイーミュを使ったと、オタク的要素で評価されていたテクノを、ここまで自然体の音楽=シンセは表現の”道具”といった位置づけに持ってきた野心は成功していると思う。

テーマを中心にすえた組曲風の楽曲群構成も成功しており、筆者のヘビーローテーションに今もしっかり組み込まれているのであった。

名作ですよ。