【映画】デビルマン(実写版)
原作がどうこう以前に、まず、話がまとまっていない。これには、まいった。何を言いたいのか、どう展開していってるのか、さっぱりわからない以前に、ストーリーとして破綻しているのだ。これは痛い。
多くの場合、長い原作を2時間にまとめようとすると、当然、時間が足りず駆け足的になっていくのは仕方がない。だからオリジナルな話にしてみたり、仕方なく話の一部を切り捨てる。カツレツのある取捨選択が求められるわけだが、本作の場合、ほとんど全部を残したまま”印象的だから”と、大局に関わらないどうでもいい部分をクローズアップしているようで、無関係のどうでもいいシーンが切り貼りで延々と続く。状況そのものがよくわからないのだ。
若手俳優の起用も野心的で結構だが、アイドルと呼ばれる連中を主役級に据えると、ほとんどの場合、演技力に難があり映画として破綻することが多いのに、なぜか日本作品は売名のための道具に使うことが多く、「だから、だめなんだ」という要因にもなっている。
今回起用された若手アイドルは、単に絶叫するだけのことも、満足に出来ていないし、追い詰められた状況の中での緊迫感もなく、最愛の人が死んでしまっても、どうも他人行儀というか、なんというか。。。もたつき、が多い。つまり役に没頭していないのだ。演技の素人を据えるだけで最悪な作品のできあがり。
役者の演技力不足と脚本のまずさ。そこに演出もまずく、どうしてこれでOKを出しているのか全く理解不能だ。
当時の批判に「学芸会」というものがあったが、まさに「年少組の学芸会」といった具合だ。
予告編では大げさに怪鳥とCGアクションを見せていたが、これも、直接話に関係のないところで、5分にも満たないところのシーン。アニメ画の挿入に関しては興ざめする。なんのための実写版なのか。
戦争というキーワードのシーンも、CGで戦争を表現するのではなく、有名なタレントがテレビで「戦争です」と言ってるだけ。なんだこれは。
30分後には、いいかげんにしろよ、と思い出して、1時間後には、もう、うんざり。せめて、ラストは、ちょっとくらい盛り上がるだろうと、甘い考えで、じっと我慢していたが。。。。
最後まで話はわからず仕舞い。
わからなかったので、いつも書いている「あらすじ」さえ書けない始末だ(笑)
原作マンガやアニメしか知らない方には「あれは聖書をモチーフにしたハルマゲドン作品で、グノーシス思想が混ざってる」ということだけ紹介させていただこう。決して、石川県輪島市出身の原作者の完全創作ではないのだった。
壮大すぎる長編マンガをアニメにするに至って「正義のデビルマン」と要約したのと同じく、2時間の映画にするには原作に拘らず新しいストーリーを用意すべきだった。