★ The Tsuchinoko News 2 (つちのこ通信2) ★

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【映画】ゲゲゲの鬼太郎(実写版)

f:id:tsuchinoko118:20111128070347j:image:left:w220米国のアメコミの実写化に追随するかのように、日本の映画業界もネタがないのか、集客力のある俳優がいないのか、国産”マンガ”の実写化が賑やかになって久しい。
”マンガ”には荒唐無稽なキャラクターが登場することが多く、CG技術の発達と切って切れない関係がある。
そんな中、日本の妖怪図鑑とも言うべき、荒唐無稽のキャラが乱舞する「ゲゲゲの鬼太郎」が実写化されたのは2006年のことであった。

レジャーランド建設計画に巻き込まれた団地の一角で今夜も妖怪が住民を脅かしていた。建設会社の手先となり小銭を稼ぐ、ねずみ男と、事情を知らないけれども人間を脅かすことが大好きなイタズラ妖怪たちであった。
鬼太郎が、ねずみ男を一喝し、妖怪たちは退散する。愚痴をつぶやく、ねずみ男だったが、その帰り道、不思議な光を放つ石を発見する。
即座に、石を質屋に持ち込む ねずみ男。
しかし、その石は、妖狐一族の所有物だった。石を管理する妖狐一族の空狐は怒り狂い石の行方を追う。
石は、団地の住人で実花、健太の父親が、質屋で不思議な気に操られ盗んでしまっていた。
はたして、空狐らに狙われる実花と健太。
実は空狐は、この石の魔力で人間界を支配しようと企んでいたのだった。

というストーリー。
あきらかに子供向けである。ゲゲゲの鬼太郎自体が子供向けのファンタジーなので子供向けなのは致し方がないが、正直いえば、おもしろくとも何ともない話であった(笑)

f:id:tsuchinoko118:20111128070346j:image:right:w220しかしながら、俳優陣のハマリ具合は、見事としかいいようがない。
ウエンツ瑛士の鬼太郎、田中麗奈のネコ娘、室井滋の砂かけ婆、間寛平の子泣き爺。どのキャラクターも、彼らのために存在していたかのようなハマり具合。たとえ話がつまらなくとも、彼らの熱演を観ているだけでも、ずいぶんと楽しめる。

とくに、ねずみ男を演じる大泉洋は特筆に値する。
はたして、いま、ねずみ男を演じるにふさわしい俳優が他にいるのだろうか。

ゲゲゲの鬼太郎という作品は、仲間とか絆とか、うさんくさい協力体制に、鬼太郎の必殺技という、ありきたりな展開の外で、暗躍するねずみ男が重要だ。こすズルく、カンタンに仲間を裏切り、小銭稼ぎに奔走するが、悪ぶったところはなく、いつも鬼太郎たちの仲間のような態度をしている。このキャラこそ「ふつうの人間」だ。

「ふつうの人間」は、いつも格好をつけている。ヘを放るクセに、それが汚らしいことと言いたげに、へを放らない態度をする。どんなときも、まず自分が大事で自分がかわいいくせに、偽善者たらんとふるまい、仲間・絆とイイながら、いざという時になれば、自分を守るために利用する。
そういう愛すべき情けない小悪人=人間を、ねずみ男は体現している。

彼がいなければ、ゲゲゲの鬼太郎は、単なる悪魔祓い師の活躍するオカルトホラーとなるだろう。

その”格好悪い”、ねずみ男を、”格好悪く”演じる大泉洋には脱帽だ。

f:id:tsuchinoko118:20111128070535j:image:left:w220あまりのインパクトの強さに、大泉洋を観ると、まずねずみ男を思い出してしまう(笑)

本作は、子供向けということで、あまり観るべきところがないのだが、ねずみ男を観ると決めれば、これほどおもしろい国産映画は珍しい。